最先端のマーケティング手法を探る~「VTuber」という新たなマーケティングの可能性~ #01

見逃せないチャンス、市場規模1兆円まで広がると予測「VTuberビジネス」の衝撃的な実態

 

数字で見るVTuberタレントの可能性


 現在、当社には87人のVTuberが所属していますが、我々の役割をひと言でいえば、「VTuberタレントの活動支援」です。具体的には、タレントが使用するアバターや配信システムの開発、マネジメント、マーチャンダイジング、ライブ興行の企画運営、あるいはライセンスタイアップといった企業間のBtoBの取引など、かなり多様な支援を展開しています。ハード面においても、2023年に総工費27億円をかけてモーションキャプチャースタジオをつくり、自社で保有しています。
  
VTuberの多面的な特性を活かした事業展開(カバー 2024年3月期 第2四半期決算説明資料)

 ファンの属性は、以前は男性が多く、年齢層は25歳~35歳ほどのアニメやゲームが好きな層がメインでした。もともとは女性タレントが多かったため、男性ファンが多いという経緯になります。ただし、最近では音楽活動やTikTokなどの活動がきっかけで、15~25歳の若年層や女性ファンの比率が増えています。
  
カバーは世界トップクラスのVTuberを独占保有している(カバー 事業計画及び成長可能性に関する事項)

 現在、我々のホロライブプロダクション全体のYouTube登録者数は約8500万人です。個人のランキングでいうと、トップが英語圏のタレントである「がうる・ぐら(Gawr Gura)」でチャンネル登録者数が441万です。2020年9月にデビューして以来海外を中心に人気を集め、約3年で到達しました。

 配信者の平均登録者数は約1万人と言われているので、その規模感が理解できると思います。所属タレントのライブ配信の同時接続数は1万人前後で、多いときには20万人に登ることもあります。
  
がうる・ぐら(Gawr Gura)さんのYouTubeチャンネル(2023年12月7日時点)

 当社に所属するタレントは、X(旧Twitter)のフォロワー数も多く、100万人規模のアカウントも少なくないため、ビジネスにおける送客効果は高いと考えます。私のアカウント(YAGOO / Motoaki Tanigo)も74万人の方にフォローしていただいており、経営者カテゴリーでの上位にいます。また、キャンペーンなどの告知もファンがリポストしてくださることで、拡散力が非常に高くなります。実際、X上の発信だけでもかなりの効果が出ています。

 たとえば、当社で3月に実施した「hololive SUPER EXPO 2023hololive 4th fes. Our Bright Parade」という大型のイベントでは、当日にXの世界トレンドで1位になりました。ひとりのタレントだけでも日本のXのトレンドランキングにランクインすることは珍しくありません。最近のVTuberタレントの影響力は非常に大きな強みとなっています。
  
ロサンゼルスで開催した「hololive English 1st Concert -Connect the World-」

 ちなみにロサンゼルスで開催した「hololive English 1st Concert -Connect the World-」という海外のイベントでは、現地のチケットは10分で売り切れ、オンライン配信分も含めると約2万5000枚を売り上げました。このような背景から、VTuberを活用することでより多くの国内外の人にリーチできるという認識が広がっています。

※第2回 言語と国境を越え、世界へ羽ばたく「VTuber」。そのグローバルな戦略を紐解く【カバー 代表取締役社長CEO 谷郷元昭】 に続く
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