最先端のマーケティング手法を探る~「VTuber」という新たなマーケティングの可能性~ #03

「VTuber」とのコラボキャンペーンの成功法則、キーワードは「二面性」と「親和性」

 

商材が本当に好きなタレントを起用する


 最後に、2023年の夏に実施した東京ドームシティとのコラボを紹介します。こちらは4つのコラボを合わせた大規模な商業施設コラボとなりました。

「ホロライブプロダクション」が東京ドームをジャックし、読売ジャイアンツとのコラボなどを実施した。アトラクションズや縁日企画、ツアープラン、さらにはライブを実施するなど、さまざまな側面からコラボレーションを行った

 まずひとつは東京ドームシティ一帯のアトラクションや施設に、当社の国内外含めた女性タレント全員をアサインするというコラボです。施設ごとに館内放送やタレントの等身大POPの設置、限定グッズ販売や限定フードメニューなど、さまざまなコラボに取り組みました。

 2つ目は「ホロライブエアライン」として読売旅行と行ったコラボです。インバウンドからの需要もあるということで、海外のタレントをメインにアサインし、ツアーパッケージ販売しました。予想を遥かに超える数の海外ファンの人々に来ていただきましたね。

 3つ目は読売ジャイアンツとのコラボです。限定グッズや限定フードメニューの販売に加え、私自身、試合後に投球する「終球式」で「YAGOOノーバンチャレンジ」という企画をさせていただきました。その日は多くのホロライブファンが東京ドームに集結していました。

 そして4つ目が、イベント初日に、東京ドームシティホールでホロライブ5期生として初の単独ライブを開催したことです。

 このように、施設、球団、旅行会社とのコラボに加え、ライブイベントも包含した、まさにフルパッケージでできることをやり尽くしたコラボとなりました。この規模でのコラボは初めての試みとなりました。

 冒頭に紹介したレッドブル社の事例もそうですが、このような各種コラボはタレント起案で始まることも多いです。常にタレントが普段から公言している趣味や好きなもの、あるいは属性や動向などを把握してサポートすることで、IPを活かした「やらせ感」のない、効果的なプロモーションを展開しています。コラボする上で最も重要な「その商材が売れるタレントを起用したい」という企業のニーズと合致するようにタレントをアサインしています。

※第4回へ続く
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