最先端のマーケティング手法を探る~「VTuber」という新たなマーケティングの可能性~ #04
バーチャルタレントだからこそ超えられる壁、VTuberの活用方法とリスクとは
VTuberのメイン活動である生配信には注意
次に炎上などのリスクについては、基本的にVTuberも芸能人やタレントも同じだと考えています。あえてVTuberならではの注意点を挙げるのであれば、VTuberはファンとのインタラクティブを重要視することから、メインの活動が「生配信」であるということでしょうか。
場合によっては事前に動画を収録して投稿することもあります。また、所属タレントを教育し、失言を防ぐ、台本の監修をするなどの対策にも取り組んでいます。とはいえ、生放送は何が起きるかわからないので、ある程度はそのリスクも許容しつつリターンとのトレードオフで考えています。
さらに、当社は炎上リスクに備えて危機管理チームを設け、所属タレントの活動をリアルタイムに監視と警守をしています。YouTubeには元の動画を2次創作したり、切り抜いて短く編集したりする文化がありますが、その体制がきちんと整っていなかった過去の炎上については、削除対応をしても悪意によってアップロードを繰り返されている現状があります。
現在では体制を整えており、迅速な危機対応とタレント保護を行っています。VTuberの起用を考えている企業は、安全性の面では個人の活動者ではなく、事務所に所属しているVTuberタレントを起用するほうが安心いただけると思います。
VTuberとのコラボが生み出す相互送客の魅力
ゲーム配信から始まったVTuberのBtoBビジネスは、VTuberをIPとして活用し、それを宣伝して送客するという形に変化してきました。さらに現在、一方的に送客する形から、企業と相互送客し合える形へと一層進化しつつあります。
第3回でも紹介した2023年の東京ドームシティや読売ジャイアンツとのコラボは、まさにこの相互送客の形であったと考えています。VTuberやアトラクションを目当てにした若い世代と、試合を目当てにした親世代がそれぞれの目的であるコンテンツと出会い、企業と当社が両輪となって互いに新たなファン層を獲得し送客しあうことができる、双方のニーズが合致したコラボの新しい形です。
さらに、日清食品社のカレーメシのようなテレビCMでのコラボ活動でも、新たなファン層の獲得やトレンド形成など、もっと大きな流れをつくることができると考えています。VTuberの特徴とバーチャル技術の強みでさまざまな壁を越えていくことで、今後VTuberのBtoBビジネスはさらなる進化をしていくと思います。
※第5回に続く