鹿毛康司、モダンエルダーを目指す #07
鹿毛康司氏が「お見事」と大絶賛、クラフトカクテル「koyoi」石根友理恵氏の人から応援される生き様
2025/03/17
ブランドは思いの「集合体」
鹿毛 ここからはブランドの話をしましょう。石根さんは、ブランドの定義についてどう考えていますか。
石根 私の思うブランドの定義はいろいろと変化しているのですが、今考えているのは、「ブランドはモノをつくっている集合体の思い」ということです。その中には私の思いもありますし、会社のメンバーの思いもありますし、製造してくれている人の思いもあります。また、手に取っていただくお客さまの思いもあると思っています。昔は私がつくるものがブランドだと思っていましたが、今は「集合体」という感覚ですね。
鹿毛 ブランドは「集合体」。ブランドのことを明確に言い当てる人はなかなかいないので、びっくりしてます。
石根 そうなんですか、うれしいです。
鹿毛 見事です。ブランドはつくっている人の集合体の思い、そのとおりでね。
石根 鹿毛さんが考えるブランドの定義についてもお聞きしたいです。
鹿毛 僕はブランドを「志」と定義していますね。世の中で喜んでもらってはじめてブランドは存続できるわけですが、その志は人にきくものではないと思ってます。その志を注いだ様々な活動をおこなって、お客様が体験をする。その体験を通してお客様の中に宿る価値がブランドだと思っています。
石根 なるほど、それもしっくりきます。
鹿毛 今度は、「石根友理恵」という個人について聞きましょうか。「石根友理恵というブランド」のコアは何ですか。コアとは、核心やその存在価値のようなもの。ひと言で表すと何になりますか。
石根 「冒険」ですね。

鹿毛 冒険ね。では、石根友理恵というブランドのパーソナリティは何ですか。人と、どうやって、どのようなパーソナリティで接していますか。
石根 すごくおこがましいのですが、ひと言でいうと「Shiny(シャイニー)」ですね。
鹿毛 輝く。輝く人でいるのね。「冒険」と「シャイニー」が石根友理恵の大切なエキスのようなものなんですね。ちなみに石根さんのパーソナリティは、僕からすると「フレンドリー」そのもの。今日初めて会ったのに、もう10年は知っているような感じで話してしまってます。
石根 もうお兄さんみたいに感じています(笑)。
鹿毛 たぶん前世で近所に住んでいたんだと思う。よく泣きながら訪ねてきて、「ご飯でも食べていきな」って(笑)。
石根 本当にそんな感じですね(笑)。

私のブランドコアは「好奇心」「冒険心」そして「Shiny(シャイニー)」
鹿毛 さて、ここからまたお聞きしますが、石根さんの会社で取り扱いしているのはお酒です。石根さん自身は、どのような枠組みの中で、どのような価値を届けようとしていますか。
石根 私は枠組みで言うと、私に会っていただいた人々です。それはリアルでも、オンラインでも同じです。その中で、「明日ちょっと元気になる」という、0を1にするような元気を届けたいと思っています。大それたものではないけれど、「明日も頑張ろうと思えるくらいの元気」という価値を届けたいですね。
鹿毛 いいですね。では、なぜ元気を与えられるのでしょうか。その背景やエビデンスをお話いただけますか。
石根 いろいろな経験をへて「人の痛み」がわかるからだと思います。
鹿毛 じつはね、わたしはグロービス経営大学院でブランド論を教えているのですが、石根さんに伺ってきたことはクラスで生徒さんに質問している内容なんです。まず、それを明確に答えてくれる人はいないのですが、石根さんは違う。びっくりしてます。

石根 そうなんですか。もうすべて私が鹿毛さんに教えていただいたような感じですが。
鹿毛 教えるだなんてとんでもないです。わたしこそ勉強になります。いや、すごいですよ。SEAMという会社のブランドをつくると同時に、ご自身のブランド論も明確にお持ちなんですね。それを言える人に初めて会いました。こういう考え方は自分で勉強されたのですか。
石根 いえ、勉強はしてないです。自分の内から出るもののイメージからできたという感じです。まさに最近、自分のコアは何だろうと考えていました。自分の意思で事業を始めたけれど、「人の期待に応えなきゃいけない」と考えてしまい、他人軸で生きているなと。それで少し立ち止まって、あらためて私はどうありたいのかを考えました。
そうすると、自分に何もなかったときにバックパッカーとして世界中を見て回ったことがあったなと思い、「好奇心」と「冒険心」という言葉が浮かびました。あと、私は「Shiny(シャイニー)」という言葉がすごく好きなんですよ。
鹿毛 どんな本を読むよりも、石根さんとお話しすることのほうがブランドについて深く思考できるんじゃないでしょうか。お見それしました。
※後編 顧客と一番深くつながれる「共感」の正体とは?【鹿毛康司氏・石根友理恵氏】 へ続く
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