新・消費者行動研究論 #06

高齢者が同じブランドばかり購入する心理的要因とは【慶應義塾大学 清水聰】

“イケてる高齢者”の心理的要因とは

 次に、「ブランド愛」や「ブランドの尊敬」だが、一般の高齢者はほとんど重視しないのに対して、情報感度が高く先端的な高齢者、つまりに示した「イケてる御爺さん、可愛い御婆さん」はかなり意識している。

 具体的には、「ブランド愛」に繋がる、見た目のデザインの良さや機能、といったものを評価し、また「ブランドの尊敬」に繋がる、自分の感覚にあっているという項目も、ブランド評価の際に重視している。

 ここから、先端的な高齢者は、一般の消費者と同様、ブランドをきちんと3つの項目から評価しており、高齢者でも彼らが支持した場合は、ブランドが歳をとることはなさそうだということがわかる。上記の「格言」は、彼らにはあてはまらないのだ。
 
 ただし、「イケてる御爺さん、可愛い御婆さん」たちも、この「ブランド愛」「ブランドの尊敬」の前提条件として、「ブランドの信頼」を挙げていることに注意が必要だ。つまり、信頼のおけないブランドには手を出さないのである。

 これは新しいブランドにとっては厳しいハードルだが、逆に信頼の確立した老舗ブランドにとっては、そこからブランド拡張やライン拡張をする際には、極めて有効なターゲットになることを示している。



 「イケてる御爺さん、可愛い御婆さん」を、将来の自分のあるべき姿として捉える高齢者予備軍も多いことから、老舗ブランドは若い人を獲得することももちろんだが、派生ブランドをうまく活用し、その次の世代への目標として位置づけてもらうことは、新しいブランドのあり方として面白いと思う。

 今までは、どちらかというと無視されてきた高齢者のマーケットだが、このように詳しく見ていくと、かなり可能性を秘めたマーケットと言えるだろう。
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商圏は「距離」ではなく「移動者」、モバイルから新たな顧客が見えてくる【慶應義塾大学 清水聰】
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