SNS・消費行動から見えてくるアラサー女子のココロ #06

まあまあ好きな人を熱狂させる、「カワイイは正義」の正しい使い方【りょかち】

「カワイイは正義」の正しい使い方

 小さな取っ掛かりから新たなファンをつくる、という話で言えば、プリマハムの事例を最近、聞いてとっても面白かった。

 プリマハムの主力製品ではあるものの、若い人の認知度が足りていなかった「香薫あらびきポークウインナー」の担当者が、LINEの公式アカウントを開設して「ソップリン」というキャラクターをオリジナルでつくりあげた。

 すると、親しみやすいキャラクターと可愛らしいイラストが若い層に人気になり、売上やブランドの認知度に影響しているという。中には、キャラクターのファンになり、SNSでキャラクターへの愛を綴る人もいるらしい。
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 「カワイイは正義」という言葉があるが、このように、カワイイモノに触れているうちに、キャラクターが好きな気持ちがいつの間にか、商品やブランドを愛する気持ちに変わっている事例もある。

 そして、それは2017~2018年に大きなムーブメントを起こした「インスタ映え」の本当の効果としても語ることができると思っている。

 例えば、インスタ映えするスポットの写真をInstagramにあげたら、強く意識しなくても、何度も見返す機会がある。さらに、「カワイイ思い出」は過去を美化する脳みその働きを加速させる。「あの時楽しかったなあ」という思い出が、自分の中で気がつけば特別になっている。



 始まりは、「インスタ映えする壁」でも「インスタ映えするメニュー」でも、そのブランドの価値観に触れることや実際に行ってみたときの体験を通して、インスタ映えなど関係なくそのブランドが行きつけになることもあり得るのだ。あくまで「インスタ映え」は入り口であり、キャッチーなきっかけとしてかなりの価値を生み出したのではないだろうか。
 

「なんとなく好きな人」から「好きな人」を生み出すテクニックを磨こう

 世の中、「きらいじゃないけど好きでもない」ものはたくさんある。きらいじゃないけど好きでもないから、視界に入らないものが沢山ある。そして、それらは、ふとしたきっかけで、目に入るようになることもあるし、ひょんなことから大好きになることだってあるのだ。

「なんとなく、自分のこと好きかもしれない人」を振り向かせるために、とっつきやすい話題が効果的なように、ライトユーザーが手に取りやすいコンテンツを用意することは、濃いコミュニティを外に広げる力があるのではないだろうか。

 自分のことを「なんとなく好きになってくれそう」だけど、これまでとは違う、新しいタイプの友人を作るために、相手が好きそうなキャッチーな「カワイイ」でまずは目にとまるように仕向けることは、モテる女の子の常識テクニックだったりするのではないだろうか。

 眼の前にいる、「自分のことをなんとなく好きになりそうな人」に目を向けて、その人に対して適切な変化球を投げられたなら、きっと、そこにはこれまでとは違う熱狂の渦ができるに違いない。
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