【速報】カンヌライオンズ2019現地レポート #03

「カンヌ・ライオンズ2019」具体的な変化と、日本にとっての価値

前回の記事:
「カンヌライオンズ2019」変革は、道半ば。それでも刺激的で、大事なことを教えてくれる
 昨日の月曜日、カンヌから戻りました。日本~カンヌの道のりは、大変に遠いです。まだ時差ボケ中の火曜日に書いているのですが、急ぎ第3回目のレポートをお送りします。主な受賞作とその傾向については最終回となる第4回に譲るとして、今年の具体的な変化と、日本からの参加者の皆さんの動きについても、ご紹介していきましょう。
 

2019年の新趣向は?そして様々なプレーヤーの動向は?


 カンヌライオンズは、毎年なにがしか新趣向を繰り出しています。昨年、登場したデジタルパスがそうでした。これは、2万円程度で、ネットを経由して主なセミナーが見られるというもの。今年はカンヌライオンズのWebサイトで、去年よりも大々的にこのパスを押し出していました。

 今年、新たに登場したのが「CLX」。「Conecting、Learning、(X)Experience」の略で、少し離れた会場の大きなスペースをこのCLXに充てていました。内容は、Amazon(+HUGE)、TikTok、Adobeなど10の企業がカンヌライオンズ運営サイドと協力して、より深い繋がりや学びの場を提供する、というもの。
 
今年から始まったCLXの案内看板
 
CLX会場でのAmazon+HUGEのスペース
 
CLX会場でのTikTokのスペース

 火・水は事前登録者のみ参加可能で、木・金は一般のカードホルダーも参加可能でした。協力企業がブース的な場を設定し、係の人も配置して、より密な対応を行っていました。

 デジタルパスで自宅に居ながらセミナーを見られるようになった中、より濃いコミュニケーションを提供しようという意図かと思うのですが、さて評判はどうだったのでしょうか。

 Google、Twitter、Facebookなどのプラットフォーム勢は、今年も変わらず、ビーチサイドに広いスペースを確保して活動を行っていました。昨年は、メイン会場前に小さなブース的なスペースを出すに留まっていたPinterestも、今年はビーチサイドに進出し、積極的な活動を繰り広げていました。
 
Pinterest主催のビーチサイドスペース

 昨年もお伝えしましたが、この時期のカンヌには、世界中から各プラットフォーマーのキーマンが集まっていて、日本からも広告代理店の担当者が彼ら彼女らに会うためにやって来て、様々なミーティングが行われていたようです。

 では、昨年カンヌライオンズで大きな存在感を示した「戦略コンサルティング会社勢」の動向は、どうだったのでしょうか?

 僕の印象では、去年ほどの“驚くほどの盛り上がり”は感じませんでした。ですが、それは単に彼らの活躍が“普通”になっただけかもしれません。相変わらず今年もセミナーなどで活躍し、大きな看板も掲示していました。
アクセンチュア・インタラクティブによる巨大看板
 
 この分野では今年、尖がった事例で有名なクリエイティブエージェンシーDroga5を、コンサルティング会社大手のアクセンチュア・インタラクティブが買収したことが話題になりました。それを受けて、ここカンヌライオンズでは、Droga5の創始者にしてクリエティブ・チェアマンのデイビッド・ドラガと、アクセンチュア・インタラクティブのCEOとの対談が行われました。
 
ドラガ5創業者デイビッド・ドラガとアクセンチュア・インタラクティブCEOによるセミナー
 
 僕は、この2人の関係の「雰囲気」を肌で感じとるために出席しました。公式的な見解はネット上の記事で見られますが、それだけではリアルな関係性は伺い知れないからです。結論は、“関係性は悪くなさそう”ということです。“大の仲良し”という感じではなかったけれど、買収した側とされた側にしては悪くはなかった。少なくても“資金力で無理矢理、買収した”というようなことは、感じられませんでした。

 Droga5は、フィルムとフィルムクラフトの両部門でのグランプリ受賞をはじめ、今年も大活躍。アクセンチュア・インタラクティブ傘下となってからの、これからの動向が気になるところです。

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