海外ニュースから読み解くマーケティング・トレンド #07

マーケティングの「原則」は、この20年でどう変化したのか

前回の記事:
人の力を引き出す「共感力(Empathy)」の大切さ【ニューバランス 鈴木健】

マーケターが使える実践的な「大原則」


 「ポケモンGO」で知られるナイアンティックの足立光氏と外資系映画会社のマーケティングを統括する土合朋宏氏の共著『世界的優良企業に学ぶ「あなたの知らない」マーケティング大原則(以下『マーケティング大原則』)』は、マーケティングについての様々な基本的な考え方を非常に分かりやすく解説しています。
 
『世界的優良企業に学ぶ「あなたの知らない」マーケティング大原則

 アジェンダノートの読者もさっそく手に取ったという人が多いと思います。この本は包括的でありながら、「原則(Principles)」という言い方の通り、誰もが立ち戻って考えるべきルールを取り上げている点が実務を担当するマーケターの役に立つと思います。また、企業の実例も多く示してあり、分かりやすい本です。

 著者のひとりである土合氏は「あとがき」で、この本は2002年に発売された米国エリック・シュルツ氏の翻訳本『マーケティングゲーム:世界的優良企業に学ぶ勝つための原則(以下『マーケティングゲーム』)』のアップデート版であることを示唆しています。

 シュルツ氏は現在、米国ユタ州のジョン・M・ハーツマンスクールオブビジネスにおけるマーケティングの教授です。世界的な優良企業であるP&G、ディズニー、コカ・コーラで実際にマーケティングを担当し、1999年に著書『マーケティングゲーム』がベストセラーになりました。
 
『マーケティングゲーム:世界的優良企業に学ぶ勝つための原則』

 この『マーケティングゲーム』を2002年に共訳したのが、足立氏(当時はP&Gを経て、コンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトン シニア・アソシエイト)と土合氏(当時は日本コカ・コーラ シニアマネージャー)でした。

 彼らは翻訳版『マーケティングゲーム』の「まえがき」で、米国でこの本の存在を知り、優良企業のマーケティングを例にノウハウが網羅的に書かれ、理論と実践を結ぶ「使える本」だったことから翻訳本を出すに至ったと経緯を説明しています。

 それから、すでに20年近くの歳月がたったわけですが、当時と大きく状況が変わったいま自然と疑問に思うことがあります。

 それは同じ「マーケティングの原則」をうたった2冊の本の「原則」が、この20年でどのように変化したのかという点です。やはり、すぐに思い浮かぶのはデジタルテクノロジーが消費者やマーケティングに与えた変化でしょう。

 一方で「変わっていないマーケティングの原則は何か」も気になります。そこで、この2冊の本を比較して「何が変わって、何が変わっていないのか」を考えたいと思います。

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