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海外ニュースから読み解くマーケティング・トレンド #02

「デザイン思考」は、破壊的イノベーションをどうもたらすか【ニューバランス 鈴木健】

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多くの人が賛成しない大切な真実に、明日の「アジェンダ」がある

デザイン思考のプロセスは3つに分けられる

 「デザイン思考(Design Thinking)」とは、プロダクト開発やイノベーションの創造を目的とした、ひとつのアプローチである。その定義は、有名なデザイン開発企業によって細かく違い、多くの方法論が存在している。

 先日、日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会の「イノベーション委員会」が実施したセミナーで、コンセプターの坂井直樹氏による「イノベーションの起こし方」と題した講演が行われた。その中で坂井氏は、IDEOやFrogといった海外の有名企業のデザイン思考を見事に分析していた。彼によれば、多くの企業のデザイン思考のプロセスはわずか3つに集約されるという。
 
  1. 情報収集
  2. 創出
  3. 実現

 このプロセスは、カスケード式とは違って可逆的に循環し、ひとつのステップが完成しなければ、次に移れないようなものではなく、意味のある「結果」をもたらすまで続けられる。もしくは、その結果の如何によって、何度も繰り返される。

 つまり、坂井氏によれば、デザイン思考とは「非デザイナーを含めた、多くのステークホルダーを対象にし、問題発見から解決までを体系化することで、企業中心の仮説分析ではなく、ユーザーの体験的な認知をもとにイノベーションを起こす思考法」のことである。

 ただ正直、これだけではその意義がわかりにくい。「デザイン」と聞くと、どうしても創造する側の意思や主体性が強い考え方と思いがちだが、「デザイン思考」になると真逆な思考法である。ユーザーや顧客など、その解決を望んでいる立場を中心に据えて、そのステップを捉えなおしている。

 デザイン思考というアプローチは、むしろ顧客体験の「サービスドミナントロジック(service dominant logic)」や「顧客中心主義(customer centricity)」などに呼び方を変えた方がよいかもしれない。イノベーションの思考法として知られるクリステンセン教授の「ジョブ理論(job to be done)」も、デザイン思考と近しい視点をもっている。それは従来のアプローチに対する、破壊的な(disruptive)批判を含んでいるからである。

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