グローバルガイドライン作成に、英語に奮闘中!スイスの「社窓」から #03

ネスレ本社の新型コロナ対策、危機時に求められるコミュニケーション作法

前回の記事:
海外赴任で痛感する、日本人コミュニティの大切さ【ネスレ 村岡慎太郎】
 

新型コロナによる影響は、生活にも仕事にも…


 3月に入ると新型コロナウイルスの感染防止のため、私も在宅勤務になりました。スイスは買い物や散歩で外出できるため、他のヨーロッパ諸国に比べると、厳しくない環境です。

 ただ、スーパーマーケットでは人と人との間に一定距離を保つように地面にラインが引かれ、入場制限もされています。街中では警察が大人数で集まっていないか見回るなど、やはり以前とは雰囲気が違います。
 
 

 日課としている朝と夕方の散歩で、街の人の様子を見ていますが、みんなストレスが溜まっているように感じます。あくまでも個人の感想ですが、新型コロナウイルスが中国から始まったこともあり、アジア人に対する嫌悪感?があるようで、道行くおじいさんから「あっちに行け!」と怒鳴られたり、マンション近くを歩いていたら上から生卵が落ちてきたりしたこともありました。

 新型コロナウイルスの影響は仕事にも表れ、スイス本社から全世界に対して、COVID19 状況下でのメディアやコミュニケーションのガイドラインを制作することになりました。私は上司とコアチーム、各マーケットと連携して情報を集めて、その制作を進めています。

 マーケットによってCOVID19の深刻度が違うため、一概に「こうあるべき」とは言いづらいのですが、ブランドセーフティやアドベリフィケーションの観点から、どういうクリエイティブをどの面に出すのが適切かを考えています。

 日本でも東日本大震災のときに、広告クリエイティブのあり方が問われたと思います。当時は日々凄惨な映像がテレビから流れ、消費者の広告へのレセプティビティが下がっていました。そんな時に、どんな広告を出せばいいのか、それとも自粛すべきか、悩んだ方も多かったと想像しています。

 ネスレの場合、飲料や菓子が中心なので刺激的なメッセージは少ないのですが、商品によってはネガティブに受け取られかねないリスクがあります。たとえば、コロナの感染者数が増加し、自宅勤務増加というニュース記事が掲載されたサイトに、「ネスカフェ アンバサダー」の広告が出てきて「職場に笑顔を」と伝えるのは不適切ですよね。

 こうした状況下でのガイドラインを制作していくわけですが、全世界に説明となると、物理的にすごい量のコミュニケーションが必要になります。さらに、状況も日々アップデートされるため、その対応に追われる毎日を送っています。

 緊急事態下ではスピード感が求められます。しかも私たちが発信する情報がマーケットを動かすヒントやきっかけになりうるため、内容は非常にセンシティブ。ハッシュタグひとつをとっても、その影響を理解しておく必要があると考えています。

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