アセアンのリアルな生活者の姿を追う #02
タイの地方都市で「マイルド・ヤンキー」に出会う【博報堂生活総研アセアン 帆刈吾郎】
タイ版「マイルド・ヤンキー」の特徴
ここまでのインタビューから彼の特徴をまとめると、- 見た目はいかついけど、実は穏やかでいいやつ
- 家族、仲間を大事にする
- 地元志向が強く都会に移住するよりも地元定住を好む
- 上昇志向が低く現状に満足している
- クルマへの投資額が大きい
などという感じでしょうか。
こうして特徴をまとめて、はたと気づくと、これはまさしく日本で一時期話題になった「マイルド・ヤンキー」という、新しい地方都市生活者の特徴そのものではないでしょうか。
これはあくまで、ひとりの対象者の傾向にすぎませんが、タイの地方都市で他の方に話を聞いてみても、共通した価値観を感じる場面は多々ありました。
どうやら「マイルド・ヤンキー」的価値観は日本だけのものではなく、タイでも地方都市で生活する若者の中には「マイルド・ヤンキー」的価値観が存在しているケースもあるように思われます。
地方都市でのマーケティングには、独自の価値観の理解が必要
アセアン各国ではバンコクやホーチミンシティのような首都・大都市だけでなく、地方都市にも少しずつ注目が集まり始めています。地方都市生活者の所得や生活水準が上がり、消費財などを販売する企業のマーケティングターゲットになりつつあることがその理由と考えられます。またクルマやバイクなどの市場は、首都圏だけでなく地方都市も含めて広く分布しており、地方都市の攻略が大事であることも理由の一つといえるでしょう。
下記グラフはタイ地方別の平均給与の伸び率を比較したものです。
元々、タイ東北部はタイの中でも最も平均所得が低い地方の一つでした。しかし近年の経済成長に伴い、タイ東北部の給与の伸びは、タイ全国平均を上回るものになっています。経済成長の恩恵は、バンコクの生活者だけでなく、東北部などで暮らす地方生活者の生活の底上げにもつながっている様子がうかがえます。
AECによる国境間貿易の活発化や地方のインフラ整備の進展、そして給与水準の改善などにより、アセアンの地方都市は、これまで以上に発展していく可能性があります。
また、既に既存ブランドが市場を支配し、大規模なマーケティング投資を続けている大都市はレッドオーシャン市場だともいえる一方で、まだ企業のマーケティング投資が十分になされていないような地方都市はブルーオーシャン市場であると見ることもできます。これらを踏まえると、今後アセアン各国で企業がもっと注目すべきなのは、地方都市なのかもしれません。
しかし、サワラットさんのケースで見てきたように、タイ地方都市生活者はバンコクなど大都市で暮らす生活者とは異なる独自の価値観を持っているようにも見えます。
地方都市生活者に注目しアプローチしていく場合、彼らならではの価値観をしっかり理解した上で、独自のマーケティング施策を検討することが必要になってくるかもしれません。
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