【速報】カンヌライオンズ2023現地レポート #04
【カンヌライオンズ2023 受賞作】IKEA、TBWA HAKUHODO注目の2作品、贈賞式を振り返りながら紹介
この記事を執筆しているのは、カンヌライオンズから帰国後しばらく経ってからです。速報第4弾(最終回)としてお届けします。カンヌライオンズには多様な側面があることを第1弾~第3弾でお伝えして来ましたが、もちろん最もメインとなるものは受賞作品・受賞事例です。
その受賞事例の中でも、その年の“話題作”に簡単に触れることができるのが、月曜から金曜の毎日19~21時頃まで行われる贈賞式(アワードショー)です。僕はこの贈賞式には必ず出席するようにしています。この贈賞式を時系列で追う形で、今年の“話題作”についても一部ご紹介していきましょう。
その受賞事例の中でも、その年の“話題作”に簡単に触れることができるのが、月曜から金曜の毎日19~21時頃まで行われる贈賞式(アワードショー)です。僕はこの贈賞式には必ず出席するようにしています。この贈賞式を時系列で追う形で、今年の“話題作”についても一部ご紹介していきましょう。
応募作の3%だけが受賞という壁
カンヌライオンズの受賞作は、審査会で厳格な受賞数が定められているわけではないのですが、ブロンズ以上で毎年3%程度となります。今年は応募総数が2万6992点で、やはり3%程度の874点がブロンズ以上を受賞しました。とはいえ、それでも900点近い数になります。全作品をレビューしようとすると、現実的ではないでしょう。そこで私が重視しているのが、月曜~金曜の毎日開催される贈賞式となります。
私が必ず出るようにしている理由は、主に2つあります。ひとつ目は、贈賞式ではゴールド以上の事例ビデオを毎回流すので、複数部門でゴールド以上を受賞する“話題作”が自然と頭に入ってくることです。
2つ目は、参加者のリアルな反応を耳にし、目にすることができることです。同じゴールドでも受賞事例によって、拍手の大きさや受賞を歓迎する歓声の量は明らかに異なります。それを間近で体験することで、何がどのように評価されているか、実感を持って知ることができるからです。
カンヌライオンズの30部門(例えば、フィルム・ライオンやPRライオンというようにライオンを付けて呼びます)は、9つのトラック(9つのグループ)に分けられています。そして、贈賞式は曜日ごとに、基本的にこのトラックに沿う形で発表されます。昨年も紹介した「9つのトラックとそこに分類される30部門」について復習しながら、曜日ごとの贈賞式を紹介し、一部の受賞事例について紹介して行きましょう。
カンヌライオンズ事務局が提供している「アワードマップ」。30部門が9つのトラックに分類されている。
贈賞式に向かう参加者。
まずは月曜日。この日は、Healthトラック(ヘルス&ウェルネス部門 / ファーマ部門)とClassicトラック<ただしフィルム部門は除く>(アウトドア部門 / プリント&パブリッシング部門 / ラジオ&オーディオ部門)の発表がありました。
次に火曜日。この日は、Entertainmentトラック(エンタテイメント部門 / エンタテイメントfor スポーツ部門 / エンタテイメントforミュージック部門/ エンタテイメントfor ゲーミング部門)とCraftトラック(デジタルクラフト部門 / フィルムクラフト部門 / インダストリークラフト部門 / デザイン部門)の発表がありました。
受賞して喜ぶ登壇者。国旗を拡げる人も。
めちゃくちゃハジける登壇者も少なくない。
この日の贈賞式については、Craftトラックについて、少し説明させてください。あらゆるコミュニケーション施策は、「アイデア(発想)×エグゼキューション(仕上げ・定着)」で構成されていると考えられます。テレビCMで言えば、どんな登場人物にして、どんなストーリーにし、どんなセリフやコピーにするかを考えるのがアイデア(発想)で、それをどう撮影してどう編集するかなどがエグゼキューション(仕上げ・定着)です。
Craftは、このうちの主にエグゼキューション(仕上げの出来栄え)を評価する部門と考えれば良いでしょう。日本はこのCraftが強いと以前から言われていて、今年は特にグランプリを含む複数のゴールド以上を受賞しました。
かなりの大人数で登壇するグループも!
登壇できるのはゴールド以上だが、シルバーとブロンズの人もその場で立ち上がって賞賛を受ける。司会者が「3%なんだから素晴らしい業績!」と。
そして水曜日。この日は、Engagementトラック(メディア部門 / ダイレクト部門 / PR部門 / ソーシャル&インフルエンサー部門 / クリエイティブBtoB部門 / クリエイティブデータ部門)の発表がありました。
こんどは木曜日。この日は、Experienceトラック(ブランドエクスピーリエンス&アクティベーション部門 / クリエイティブ・ビジネストランスフォーメーション部門 / イノベーション部門 / クリエイティブコマース部門 / モバイル部門)とStrategyトラック(クリエイティブ・エフェクティブネス部門 / クリエイティブ・ストラテジー部門)の発表がありました。
ここでは、イノベーション部門でゴールドを受賞した日本からの事例をご紹介しましょう。
Shellmetと名付けられたこの事例は、TBWA HAKUHODOが甲子化学工業などと協同で行ったもの。廃棄予定のホタテ貝殻を原材料としたヘルメット(シェルメット)を開発し販売したものです。
イノベーション部門では、ショートリスト(入賞)入りすると会期中の定められた時間に審査員に対してプレゼンテーションをし、質疑応答も行ったうえで、グランプリや金銀銅を決めて行くシステムとなっています。
そして、そのやり取りを、参加者も会場でリアルに見られるようになっていて、私自身も視聴したのですが、質疑応答(もちろん英語で!)も含め素晴らしいプレゼンテーションが行われたことをご報告しておきます。