アセアンのリアルな生活者の姿を追う #05
「姿勢を評価してほしい夫」と「実態で評価する妻」 タイと日本の家事シェア【博報堂生活総研アセアン 帆刈吾郎】
バンコクでお会いしたフレキシブルに役割分担する夫婦の話
前回、アセアン夫婦の役割分担についてご紹介したところ、比較的多くの方に読んでいただいたということで、今回も引き続き、夫婦の役割分担をテーマに、アセアンの別の夫婦のケースをご紹介したいとおもいます。アセアンの国々で暮らす夫婦は、どう仕事、家事、育児などの役割分担を行なっているのでしょうか? 実際のご家庭を訪問して、生活者へのインタビュー、生活観察を通してインサイトをひもときます。
今回は夫からの目線、妻からの目線をフェアに理解するため、夫妻それぞれ別々にインタビューを行っています。これによって夫婦それぞれが役割分担についてどう思い、家庭での行動にどう反映されているのかについて本音をできるだけ引き出すよう努めています。
今回、ご紹介するのは、タイ・バンコクで暮らす夫のアイスさん31歳と妻ナームさん27歳です。
夫はファミリービジネスを行っていて、妻はインテリアデザインコーディネーターとして働いています。夫婦の月収は合わせて10万バーツ(約33万円)、取材当時は結婚5年目で、3歳と1歳の子供がいます。
この夫婦は、時間がある方が柔軟に家事や育児などのタスクを受け持つ、フレキシブルな夫婦の役割分担をしているという認識をしています。では具体的に夫、妻はそれぞれ現在の夫婦の役割分担についてどう考えているのでしょうか。
夫アイスさんの話
一般論として男女平等についてどう思いますか?「男女平等だと言っても、依然夫は一家のリーダーである必要があると思う」
「人々は時には伝統的なやり方に従うことも求められると思うので、そういう場合は男女平等ではないと思う」
では、家庭での夫婦の役割はどうでしょう。
「自分が一家のリーダーだと考えている。父は厳しく、保守的だったので、その影響を受けているところはあると思う」
そうですか、では家事や育児はどのように分担していますか。
「特に明確に役割を分けてはいない。純粋にフレキシブルにやれる人がやるようにしている。特に子供ができてからは、妻にお願いするのではなく、自分でなるべくやるようにしている」
「周りには伝統的なスタイルで、男が何もしない家もあるけれど、自分は妻とよく話をして、自分たちのスタイルをつくるようにしている」
実際の役割分担はどのような割合ですか。
「洗濯、料理は自分が20%位分担して、妻が80%位分担している。洗濯、料理は正直自分があまり得意ではない分野なのであまりできていない。掃除は30%くらい、子育ては50%はやっている。自分なりのベストを尽くして家事や育児を手伝っていると思う」
では、あなたの妻に点数をつけるとしたら100点満点で何点でしょうか。
「80点。足りない20点は、時々夫婦喧嘩するから。またすぐ感情的になるところ。お互いよく話し合うことが100点に高めるために重要だと思っている」
なるほど、ありがとうございました。