Web Summit 2025 現地レポート #04

注目トレンド「AIエージェント」「世界モデル」「フィジカルAI」をリードするキーマンたちが語った「次の視点」【Web Summit 2025 レポート】

前回の記事:
Microsoft、Uberなど先進企業によって現実化する「AI前提の社会・産業」:欧州最大規模のテックカンファレンス「Web Summit 2025」レポート【電通 森直樹】
 世界7万人が集うイノベーション・テクノロジー・ブランド・経営・ベンチャー・投資・カルチャーなどを広範に扱う欧州最大規模の国際イベント「Web Summit」が、今年もポルトガルのリスボンで開催された。

 本稿では、そのWeb Summit 2025を「クリエイティブ×テクノロジー」の視点からレポートする。執筆者は電通のクリエイティブ部門のR&D組織「Dentsu Lab Tokyo」にてクリエイティブ・テクノロジストとして活動している岸本和也氏。技術のサーベイから企画、プロトタイピングまでを一貫して担当する立場から、Web Summit を視察した。現地で触れたトレンドの一端をレポートする。
 

Web Summitの概観:文字通りの「AI Everywhere」


【執筆者】  
岸本 和也
株式会社 電通
Dentsu Lab Tokyo/第5クリエイティブ・プランニング局

クリエイティブ・テクノロジスト / コミュニケーション・デザイナー
2011年入社。クロスメディアマーケティングおよびSNS等のデータ分析や、アプリプラットフォーム開発等の新規事業開発業務に従事したのち、15年から現職。テレビCM、SNS・オウンドメディア運用、インスタレーションと、ウェブやテクノロジーを絡めた様々なコミュニケーションに携わる。サーベイ~企画~プロトタイピングを通じて技術の「間違った」使い方を模索し、最近は生成AIや音/音楽に関わる案件を中心に取り組む。

 Web Summitの開催地であるリスボンは近年、国を挙げてスタートアップ・エコシステムの構築に注力している。ポルトガルブースのレポート資料によれば、現在5社のユニコーン企業が事業を継続中だという。
  
ポルトガルのスタートアップ・エコシステムのブース

 主催者発表によると、参加者は157の国と地域から7万人を超え、出展スタートアップ数は2,700社以上にのぼった。展示会場には、欧州を中心とした数多くのスタートアップや、各国のエコシステムを紹介するブースが所狭しと並んでいた。
  
会場内の至る所に配置されたスタートアップブース。説明文に「AI-powered」や「AI agent」といったワードを記載した企業を多く見かけた。

 一方で、セッションの文脈は、アメリカ開催の SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト:毎年3月に米テキサス州オースティンで開催される、音楽・映画・インタラクティブ・テクノロジー分野を融合させた世界最大級のビジネスカンファレンス&フェスティバル)に近い印象を受けた。

 単に新技術を披露して称賛する見本市ではなく、「社会実装の先にどのようなビジョンを描くか」「技術的課題をどう乗り越えるか」といった、「問い」や「視点」を共有するセッションが目立ったからだ。

 同時並行で多数のセッションが開催されるため、全体像を把握すべくセッションタイトルをワードクラウドの形式で可視化したところ、"ai" の文字が際立つ。
  
著者作成のワードクラウド。特徴語に着目しやすくするため「重複したセッションタイトルはひとつに絞る」「Summit、Meetupなどの頻出語を削除する」などの加工を施している。

 文字通り「AI Everywhere」の状況下で、LLM(大規模言語モデル)が普及した後のビジョンや、具体的な課題への取り組みが各所で語られていた。以下、主要なAI関連セッションを紹介する。

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