必要な人材は、高い年棒で契約が舞い込む


 あなたは周囲から必要とされる存在でしょうか?

 ビジネスの世界は、どこまでも広がるドラフト会議です。チーム(会社)にとって必要な人材は、高い年棒で契約が舞い込みます。上位指名は必要とされる稀有なスキルを持っていることが前提で、下位指名選手でもチームにとって何らかの役割が必要なので、指名されるという仕組みです。

 元来、人間は必要とされればされるほど、結果を出そうと頑張れる生き物。会社、家族、恋人、友だちなど、さまざまなコミュニティで同様の概念が存在しています。たとえば、その対象が会社の場合、目標達成が期待されていて、達成によって必要な人材と認められようとする。対象が恋人であるならば、毎日LINEで優しい言葉をかけて欲しいという想いにさりげなく応えるのもそうかもしれません。相手から必要とされていると感じる経験は、誰しもにあるでしょう。

 誰かに必要とされた経験のある人は、ひとつのコミュニティに留まらず、複数のコミュニティに積極的に参加し、その経験を本能的に再現しようと周囲に「Give(与える)」しようとします。Giveすることによって、循環社会をつくっていくことが、昨今のビジネスパーソンには必須です。こういう人は結果として、周囲から必要とされる人材になります。

 前回は、Will/Can/Mustの話をしましたが、今回は「必要とされる人材とは何か」というテーマを、深掘りしていきます。


 

マーケティングと人材に共通する2つの必然性


 世の中に必要とされる人材には、2つの必然性があると考えます。
 
  1. 選ばれる必然性
  2. 選ばれ続ける必然性

 「1.選ばれる必然性」は陸上でいう短距離走、「2. 選ばれ続ける必然性」は長距離走をイメージするとわかりやすいかもしれません。ビジネスにおいては、両方の能力が必要なのは言うまでもありません。

 まず、「1.選ばれる必然性」は社内なら新しいプロジェクトに呼ばれる、社外であればお客さまに自社のサービスを選んでいただくことなどがあります。ここで重要なのは、Can(できること=自分が持っている能力)が明確になっていて、それがステークホルダーに伝わっているかです。または、Canを現時点で期待されるレベルまで所持していなくても、錯覚資産として周囲に認めさせられるかどうかがポイントです。

 次に、「2.選ばれ続ける必然性」についてです。ここでは最初に選ばれたとしても、結果が出ていない場合には、継続的に指名されるわけではないのがポイントです。また、結果が出なくても、その過程で関係者から支持が得られれば、選ばれ続ける可能性は上がります。逆に錯覚資産としてごまかしていたものがバレた場合、ここでゲームセットになる可能性が高いでしょう。

 この2つの必然性は人材の話だけではなく、我われマーケティング担当者の普段の業務にもそのまま当てはまります。選ばれる必然性は、「知ってもらう→好きになってもらう→サービスを使ってもらう」という活動です。また、選ばれ続けるのは、1度使ったサービスのファンになってもらう活動の一環だと考えられるでしょう。いわゆるLTVの概念は、マーケティングにも人材にも共通です。  

 では、我われマーケター自身が選ばれるようになるために、必要なことはなんでしょうか? それを次で考えていきたいと思います。