電通および電通総研は8月5日、「新たな事業創出とR&Dの関係性に関する調査」の結果を公表した。この調査は、大手企業(売上1000億円以上)のR&D(研究・開発)部門とその他事務系部門の計760人を対象として、2025年5月16日~21日に実施したもの。企業の新規事業創出や製品開発においてR&D部門がどのように活用されているか、その貢献状況や課題感を明らかにすることを目的としている。
調査結果によると、これまでにない事業創出や製品企画の取り組みに成果を実感している企業ほど、R&D部門の貢献を実感しているという結果が示された。成果実感がある企業におけるR&D部門には「ゴールが明確化され、共有されている」といった共通する特徴があることも明らかになった。
本調査によると、各企業がR&D部門に期待している役割は「よりスピード感のある研究・開発」が73.4%で1位。次いで「グローバルで戦える技術の開発・研究」「より事業成果を見込んだ研究・開発の推進」が上位に続いた。しかし、これら期待の大きい役割に対する実際の達成度とのスコア差も大きく、期待と貢献度とのギャップが浮き彫りになった。
(図表1)R&D部門が期待されている役割と貢献度
出典:電通 プレスリリースより
また、これまでの事業に捉われない新たな事業創出や製品企画に対して、自社が「取り組んでいる」と回答した従業員は全体の7割に上る一方で、「成果が上がっている」と回答したのは2割だった。さらに、そういった取り組みに対してR&D部門が生み出す成果が「非常に貢献できている」と回答したのは、12.4%にとどまった。
(図表2)事業創出や製品企画の取り組みに対してR&D部門が寄与しているか
出典:電通 プレスリリースより
一方、新たな事業創出や製品企画への取り組みについて「成果が上がっている」と回答した従業員は、そうでない従業員に比べて、「R&D部門の積極的な貢献」を約4倍実感できているという結果になった。これは、成果が上がっている企業ほど、その取り組みへのR&D部門の貢献が実感できていると言える。
(図表3)事業創出や製品企画の取り組みに対してR&D部門が寄与しているか(上:取り組みの成果実感大 下:成果実感小~なし)
出典:電通 プレスリリースより
本調査ではさらに、R&D部門の業務実態や課題についても聞いた。その結果、新規事業創出や製品企画に対して成果実感がある企業では、R&D部門の組織に5つの特徴が共通して見られることがわかった。
【成果実感のある企業のR&D部門の特徴】
1:中長期なビジョン・研究戦略が共有されている
2:自社技術について社内外で理解されている
3:顧客ニーズへの深い理解がある
4:R&Dが事業創出を主導・関与できている
5:社外パートナーとうまく連携できている
今回の調査では、これまでにない新しい事業を創出したり、製品を企画したりしようと取り組んでいるとの回答が7割を超え、大企業が事業の「変革」に乗り出している傾向が鮮明になる一方、その成果を実感しているのは約2割と少数にとどまった。
ただ、成果を実感できている企業ほど、R&D部門が積極的な貢献を見せていることも判明した。そういった企業におけるR&D部門では、ビジョンや戦略が明確化・共有され、自社技術について部門外でも理解が共有されているといった共通の特徴があった。
調査担当者は、成果を実感している企業におけるR&D部門が「全社の中での変革のドライバーとしての重要な役割を担っている」と推察。事業変革を目指す企業において、R&D部門の進化が重要になると指摘した。
調査結果によると、これまでにない事業創出や製品企画の取り組みに成果を実感している企業ほど、R&D部門の貢献を実感しているという結果が示された。成果実感がある企業におけるR&D部門には「ゴールが明確化され、共有されている」といった共通する特徴があることも明らかになった。
事業創出に取り組むも、成果実感は低い
本調査によると、各企業がR&D部門に期待している役割は「よりスピード感のある研究・開発」が73.4%で1位。次いで「グローバルで戦える技術の開発・研究」「より事業成果を見込んだ研究・開発の推進」が上位に続いた。しかし、これら期待の大きい役割に対する実際の達成度とのスコア差も大きく、期待と貢献度とのギャップが浮き彫りになった。
(図表1)R&D部門が期待されている役割と貢献度

また、これまでの事業に捉われない新たな事業創出や製品企画に対して、自社が「取り組んでいる」と回答した従業員は全体の7割に上る一方で、「成果が上がっている」と回答したのは2割だった。さらに、そういった取り組みに対してR&D部門が生み出す成果が「非常に貢献できている」と回答したのは、12.4%にとどまった。
(図表2)事業創出や製品企画の取り組みに対してR&D部門が寄与しているか

成果が出ている企業ほど、R&Dの貢献を実感
一方、新たな事業創出や製品企画への取り組みについて「成果が上がっている」と回答した従業員は、そうでない従業員に比べて、「R&D部門の積極的な貢献」を約4倍実感できているという結果になった。これは、成果が上がっている企業ほど、その取り組みへのR&D部門の貢献が実感できていると言える。
(図表3)事業創出や製品企画の取り組みに対してR&D部門が寄与しているか(上:取り組みの成果実感大 下:成果実感小~なし)

本調査ではさらに、R&D部門の業務実態や課題についても聞いた。その結果、新規事業創出や製品企画に対して成果実感がある企業では、R&D部門の組織に5つの特徴が共通して見られることがわかった。
【成果実感のある企業のR&D部門の特徴】
1:中長期なビジョン・研究戦略が共有されている
2:自社技術について社内外で理解されている
3:顧客ニーズへの深い理解がある
4:R&Dが事業創出を主導・関与できている
5:社外パートナーとうまく連携できている
今回の調査では、これまでにない新しい事業を創出したり、製品を企画したりしようと取り組んでいるとの回答が7割を超え、大企業が事業の「変革」に乗り出している傾向が鮮明になる一方、その成果を実感しているのは約2割と少数にとどまった。
ただ、成果を実感できている企業ほど、R&D部門が積極的な貢献を見せていることも判明した。そういった企業におけるR&D部門では、ビジョンや戦略が明確化・共有され、自社技術について部門外でも理解が共有されているといった共通の特徴があった。
調査担当者は、成果を実感している企業におけるR&D部門が「全社の中での変革のドライバーとしての重要な役割を担っている」と推察。事業変革を目指す企業において、R&D部門の進化が重要になると指摘した。