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「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 #12

新規顧客の獲得に苦戦する時代だからこそ、フルファネルマーケティングが必要に

前回の記事:
2019年度に注目すべき、ダイレクトマーケティング5つの潮流【ペンシル 倉橋美佳】

新規顧客獲得が困難になってきた背景


 通販事業者が解決したい課題というアンケートをとると、必ず1位に上ってくるのが、「新規顧客の開拓」という項目です。

 以前に比べて、新規顧客の開拓で困っている企業が非常に多くなったと感じます。では、その背景はどういったことがあるのでしょうか。

 1、広告の表現規制

 広告表現の規制が年々強化されているため、以前は使用できた表現が今はできなくなってきています。特に、通販ビジネスを牽引してきた、健康食品や化粧品の領域では大きな影響を受けています。

 医薬品、医療機器などの品質、有効性及び安全性の確保などに関する法律(いわゆる薬機法:以前の薬事法)や景品表示法が整備されたり、強化されたりしたことで、特に通販事業者は、それに準じ表現やサービスの変更をしてきました。

 2016年4月には、景品表示法の改正により課徴金制度の導入も実施され、毎年、課徴金制度による指摘企業が発生している状況です。
 
参考:景品表示法に基づく法的措置件数の推移(平成31年2月28日現在)
 いまも伝えたいことがうまく伝えられない、どういった商品なのかを伝えきれないなど、表現に悩まされている企業も多くいると思います。

 2、顧客のリテラシー向上

 顧客はインターネットを使って、多くの商品の中から自分にあったものを自由に選択することができるなど、購買に対しての障壁がどんどんと下がっていきました。

 コンプレイセンシー(complacency)という状態だそうで、「満足しきっている状態」という意味になります。商品やサービスに対するリテラシーが上がることにより、より良い商品を吟味して購入をしたり、いつでも買えたりすることで、衝動買いなど一時的な感情での購買が減ったり、全体として購買力が落ち着いている状態となっています。

 通販市場の規模自体は増えていますが、その分、プレイヤー側も増えていますので、競争は激化していると考えられます。

 また、ニュースなどでも話題になりましたが、通販ビジネスのリピート施策の要である「定期コース」についての表現に対する指摘や誤認など、ユーザー側への配慮を必要とする場面も増えてきました。

参考:「お試し」のつもりが「定期購入」に!?第2弾 健康食品等のネット通販では、契約内容や解約条件をしっかり確認しましょう(国民生活センター)

 当然、これら2つを無視して、新規顧客獲得のために虚偽表記やデジタル・デバイドを無視した販促活動を行なってよいということはありません。ユーザーに配慮した広告・販促であるべきだということは、改めて伝えておきたいと思います。

 3、インターネットでの広告出稿量の増加

 デジタルマーケティングに取り組む企業が増え、年々広告出稿量も増えている状態です。運用型広告がほとんどを占めているため、入札者が増えれば単価が上がることになります。

 インターネット広告は、出稿量が多ければ多いほど単価が下がるというものではなく、逆に単価は上がってしまいます。全体に出稿が増えたことで、以前のような効率が出せないことも見逃せないポイントです。
 
絵・倉橋 美佳
 

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