PHOTO | ©123RF
ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #08

日本の小売業が、世界最大ホームセンター「ホームデポ」のアプリ体験から学ぶべきポイント

前回の記事:
日本は本気でオムニチャネルに取り組んでいない、世界最大ホームセンター「ホームデポ」から受けた刺激
 無人店舗、AI(人工知能)、モバイル決済…新たなテクノロジーが次々とリテール領域に導入されています。また、大手リテール企業の倒産や、ネット企業による店舗チェーン買収も注目を集めています。本コラムでは、そうした国内外のニュースから可能なものは自ら体験しつつ、今後のリテールのあるべき姿と未来像を紹介していきます。今回は、世界最大のホームセンター ホームデポにおけるアプリを使った買物体験後編です。

 4年前に視察体験した時点で、ホームデポのアプリは基本機能が揃っていました。今回のホームデポ視察の準備をしている段階では、「あの完成度なら、そうは変わらないだろう」と甘く見ていました。
 

ホームデポのアプリ検索のすごさ

 
※トップ画面
 ダウンロードした第一印象は、レコメンドやスクロール時の見せ方は洗練されているけど、機能面の大きな更新はないなと感じました。しかし、よく見てみるとテキストやバーコードだけでなく、音声や画像でも検索できるようになっていました。さらに、画像検索を試してみて、驚きました。みなさん、日曜大工やプラモデルづくりで使う、この品名はわかりますか。



 わからなくても、大丈夫です。画像検索(静止画でなくても、アプリを使って画面に映すと認識します)でヒットします。工具の名前は、一般ユーザーには覚えにくいものですが、自宅にあるものの買い替え・補充は、このアプリによって賄えるわけです。

 画像検索は、ヒットするまでに時間がかかりますが、検索の様子が「AI頑張っています」という表現で面白いです。興味のある方は、ぜひダウンロードして試してください。



 ちなみに、この工具の名称は 「Spring Clamp」だそうです。当然、そこからの購買動線も完璧です。
 

ホームデポ 注目のアプリ機能


 お気に入り店舗の広告、顧客ごとのおすすめとオファー、検索履歴、店検索、買物リスト、ハウスクレカ&ギフトカード、といった小売系アプリであったら便利という機能は網羅されています。

 そして、Toolboxというタブにホーム・デポならではの便利な機能が搭載されています。アメリカは、長さの単位にゴルフでおなじみのヤード・ポンド法を使用しています。しかしながら、移民も多い多国籍文化ですので、我々日本人のようにメートル・センチがなじみ深い人も多いわけです。

 また、補充部材のサイズを図ろうというときに物差しが見当たらないということは良くあるものです。このCaliperという機能は、画面を見れば一目瞭然で、ワンタップでメモも残せる親切設計です。

・Caliper



・Converter

 前述の通りで、単一民族ではないアメリカは、様々な単位が使われています。長さ・重さ・気温・容積を換算してくれる計算機能です。これもメモできます。将来は、日本でも必要になるかもしれませんね。

・Nut & Bolt Finder

 まさに、ホームセンターならではの機能です。ナットとボルトを自宅で実測して、サイズを記録できます。これをECで頼むことも店頭でピックアップすることもできるわけです。ねじ1本なくなったからと我慢して使っている物、買い替えたものありますよね。



・Tape Measure

 これは正直、チャレンジングな機能だと思いました。靴のサイズを入力して歩数をカウントすると、距離が測れるというものです。私が店舗をリサーチするとき、実行している手法です、一般の方が使うかというと疑問が残ります。

 この他にも、Webで実装されている機能へのリンクが揃っています。こちらもかなり多機能です。おそらく利用頻度の高いものからアプリ化しているのではないかと想像できます。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録