最新ニュースから読み解く、物流とマーケティング #04

中国へのBPO最前線、ECサイト「OMO(Online Merges with Offline)」の進化をどう支えるか

前回の記事:
ユニクロの「レジ待ち行列」を解消したRFIDタグの威力

ネット企業からリアルへの参入も進む


 2019年3月16、17日に京セラドーム大阪で「touch the outdoor」というイベントが開催された。主催は、ナチュラムというアウトドア&フィッシングのネット通販企業になる。私が所属するスクロールの傘下に、昨年入った会社だ。イベントは2日間で、家族連れを中心に6000人を超える来場者で盛況となった。



 「OMO(Online Merges with Offline)」と言うと、ユニクロやユナイテッドアローズといったリアル店舗のオンラインショップとの融合が有名だが、ネット通販企業からリアルへの参入も始まり、ますます融合が進んでいくことが予想される。

 ナチュラムのケースで言うと、ネット通販企業がリアルイベントを開催し、アウトドアを体験してもらい、その様子をSNSで投稿してもらい、拡散を狙うという流れだ。

 生活者はネットとリアルをますます自由に行き来するようになっている。今回は、ナチュラムをケースにネット通販企業が進めるOMO戦略と、それを支えるバックヤードを紹介したい。
 

ナチュラムを支える中国BPOの威力


 2004年にナチュラムは、中国四川省に成都インハナというBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング・業務の一部もしくは全部を外部に委託すること)を請け負う企業を立ち上げた。

 商品データの作成から始まり、市場調査(競合店の価格調査)、受注処理、販売管理と徐々にサポートする領域を広がっていった。成都インハナには、日本語の堪能な社員が50人在籍し、専用回線を通じて日本のECショップの業務を代行している。
 
成都インハナ有限公司 ロビー受付
 
日本語が堪能なスタッフたち

 ナチュラムは、ECサイト上に20万SKUの商品を掲載しているが、実際に倉庫に在庫が置いてあるのは5万SKU。それらの商品の翌月受注数を成都インハナの予測システムで計算し、それを基にアウトドアメーカーに発注している。また、受注予測が外れた場合も同社のメンバーが異常値を確認し、追加発注を調整するところまで担当している。

 ナチュラムでは、「商品データ登録~受注処理~商品発注」が中国、商品の出荷はパートナー企業の物流倉庫、顧客対応も外部のコンタクトセンターへと、日常のほとんどの業務をアウトソーシングしている。

 徹底したアウトソーシングをする狙いは、次の3点だ。
 
  1. 日々の売上はアウトソーシング先がつくる。
  2. 社員はコアな仕事に集中し、未来の売上をつくる。
  3. オリジナル商品とリアルイベントを強化・推進する。

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