「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 #14

ダイレクトマーケティングに、ブランドは必要なのか?

前回の記事:
ITP対策と影響を徹底解説、大きな変革期を迎えるWebマーケティング業界

ダイレクトとブランド、2つの世界が近づいている


 今回は、ダイレクトマーケティングとブランディングの関係性について書きたいと思います。私はずっとダイレクトマーケティングの世界にいるので、ブランディングをメインテーマに据えたマーケティングイベントに参加すると、考え方の違いに驚かされることが多くあります。

 しかし、最近の動向をみていると、ダイレクトマーケティングに力を入れている企業もブランディングを重視し、またブランディングに力を入れている企業もダイレクトマーケティングの考え方を採り入れるようになってきていると感じています。

 この2つの世界は、近くなってきていると感じるのです。
 
絵・倉橋 美佳

 ダイレクトマーケティング側がブランドに注目している背景がいくつかあるように思います。
 
■ダイレクトマーケティングがブランドを必要としている背景
  1. ユーザーは“問題解決疲れ”をしている
  2. 企業は“スペック競争疲れ”をしている
  3. ダイレクトマーケティングだけでは、儲からなくなっている

 この3つを詳しく説明していきます。

1.ユーザーは問題解決疲れをしている

 高度経済成長を経て、モノが溢れ、モノに囲まれる時代になりました。自由にモノが手に入るようになると、テクノロジーの進化も相まって、シェアリングエコノミーが流行り、「所有することへの価値」が減ってきているように思います。

 また、機能性やスペックを向上させた「より良い商品」が次々と生み出されるようになりました。サプリメントや化粧品の世界でいうと、「◯◯配合」「◯◯が◯mg入っている」など、スペック競争がどんどん加速しています。

 ユーザーは、何かの課題解決をするための商品を探し始めるわけですが、検索結果には山のように商品が表示され、それぞれの差異はほとんど分かりません。ユーザーはそれを比較したり、理解したりしなくてはならない、つまり以前に比べて「問題解決の前段階」が大変になっているのです。

 ひとつの商品を選びたいだけなのに、取捨選択を迫られて“問題解決疲れ”を起こしているのです。
 
絵・倉橋 美佳

 そこで課題解決という目的に合致している「ブランド」を確立できていれば、ユーザーはそれに基づいて商品を選択でき、非常に合理的です。ここで大事なのは、そのブランドがどのような「経験」を届けてくれるのか、ということだと思います。

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