ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #12

7Payのセキュリティ問題と、中国・生体認証決済でわかった多要素認証の重要性

前回の記事:
九州発・トライアルを支える最新技術から、小売業の「半歩先の未来」が見えた

WeChat pay、Ali payの「顔認証決済」事情


 7月上旬に契約先での講演用取材のため、中国・上海に行きました。今回は、そのとき体験した中国の最新「顔認証決済」から、日本で起きた7pay問題、ひいては多要素認証の重要性について考えたいと思います。

1.WeChat pay @カルフールle marche

 かつて日本にも進出していた世界9位の小売業であるフランスのカルフールが中国で展開している店舗には、中国大手ネットサービスの騰訊控股(テンセント)の技術が導入されています。ちなみにカルフールは2019年6月、中国部門の株式80%を中国・家電量販大手の蘇寧易購集団(SUNING)への売却を発表しています。

 参考:「世界の小売業ランキング2018 デロイト トーマツ」

 テンセントが展開するメッセンジャーアプリ「WeChat」のアプリ内アプリとも言える「WeChatミニプログラム」の使い勝手は機会があれば触れますが、今回はその中でもセルフレジでの顔認証決済について紹介します。
 
※筆者撮影

 このセルフレジの利用客を見ていると、「WeChat pay」のQR決済機能を使う人が多かったのですが、顔認証決済も可能です。商品をスキャンした後にスマートフォンを持つことなく、手ぶらで行うことができます。使用方法は、次の通りです。
 
  1. 顔認証決済のアイコンをタップする
  2. レジ上部のカメラを見る
  3. 「WeChat」に登録している携帯電話の番号の下4桁を入力する

 「顔だけで終わらないのか」という印象を持つ人が多いと思います。しかし、私はこれが正しいプロセスだと考えます。その理由は、最後までお読みいただくとわかります。続いて、Ali payの顔認証決済も見ていきましょう。

2.Ali pay @盒馬鮮生(フーマー)

 中国EC大手の阿里巴巴集団(アリババ)傘下の食品スーパーマーケットである盒馬鮮生(フーマー)も、セルフレジの顔認証を導入していました。アリババグループの決済アプリである「Ali pay」を使います。
 
盒馬F2(コンビニ業態にて)ハードは盒馬の各業態でほぼ同じ(筆者撮影)

 流れは、カルフールの「WeChat pay」と同様で、顔認証後に携帯電話の番号を入力するかたちです。

3.Ali pay @自動販売機 SMILE TO PAY

 
筆者撮影

自動販売機でも顔認証が導入されていました。ちなみに顔認証ができなかった(一致する人物がいなかった)場合は、携帯番号をフル入力し、SMSにワンタイムパスワードが送られてくることで認証できます。

4.Ali pay芝麻信用連動で静脈決済Take Go自動販売機
 
筆者撮影

 自動販売機で静脈での決済もできました。流れは、顔認証とほぼ同様です。顔の代わりに手のひらの静脈で認証して、携帯電話の番号を入力します。

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