ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #14
日本から注目集める、中国スーパーマーケット最新事情。フーマーの新業態と競合の動き
盒馬菜市業態
5月末に出店したフーマーの新業態「盒馬菜市」は、通常店の半分ほどの面積である生鮮食品特化型の小型店舗です。
特徴としては
- 野菜・穀物などのバラ販売が多い
- イートインスペースはない
- 持ち帰って食卓にすぐ並べられる出来立て販売が多い
また、視察した店舗では、生鮮食品が最も目立つ中心に置かれ、テナントと思われる惣菜店はその左側にありました。また、ヘアカットやクリーニングなどの生活関連サービスは入口右側にあり、自社サービス以外とのミックスも考慮されていました。
薬剤師でもある筆者が個人的に気になったのは薬の自販機です。視察時はまだサービスが開始していませんでしたが、おそらく許認可の関係でしょう。
この業態は、通常のフーマーで過半数を占める「オンライン注文→自宅配送」を主ではなく、来店してもらうことが目的だと推察できます。
F2業態
「 F2」は、先ほど紹介した新業態「盒馬菜市」のさらに半分程度の小型業態です。視察した店舗は、オフィス立地で店内調理品をイートインスペースで食べられる店舗で、買物スペースはコンビニエンスストア程度の品揃えでした。
「F2」は、現金の使えるレジのない店舗でした。ここでフーマーの顔認証決済について触れます。前回の「7Payのセキュリティ問題と、中国・生体認証決済でわかった多要素認証の重要性 」で書いたように、中国の顔認証決済は生得要素である顔の一致だけでは使えません。その後で知識要素である携帯番号(の一部)を入力する二要素認証でセキュリティを担保しています。
顔と画面タップだけでスマホを持たずに決済できることは、買上げ点数の多いスーパー業態ではなく、実はF2のような中食・コンビニ的業態で有効なのかもしれないと思いました。
この店で食事とデザートを購入し、コーヒーを自分で入れた時点で両手はふさがっています。最後にセルフレジ会計という場面で初めてスマホを取り出すわけですので、商品をスキャンしてそのまま目の前の画面で完結する方がスムーズです。
一方、モバイルオーダー品のロッカー受取りの際にはスマホが必要となるのは自然な流れです。決済もスマホで完了していますので。
顧客の利用シーンに合った決済は場面によって多種多様です。なんでもQR決済ではなく、場面・業態にあったものが必要と考えます。
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