ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #21

「販売員で差別化」b8ta日本代表が語る、体験型RaaSで最も重要なポイント

前回の記事:
有名テクノロジー企業も多数出品。米国発b8ta 北川卓司・日本代表に聞く日本進出の勝算
 商品が売れなくてもビジネスが成立する店舗の先駆けである、米国・サンフランシスコ発のベンチャー企業「b8ta(ベータ)」が今夏、日本に出店します。

店内には、スタートアップ企業がつくったハードウェア製品のほか、様々なイノベーティブな商品が並んでいます。そして、その販売売上ではなく、店内での顧客体験データの販売で収益を上げるビジネスモデルです。

日本代表の北川卓司氏へのインタビュー第2回では、競合店舗も出てきているなかで、どのように勝っていくのか、について聞きました(第一回は、こちら)。
 

強みは、プラットフォームとスタッフ教育


郡司 最近、日本でb8ta同様のビジネスモデルのショップを見かけるようになりました。例えば、表参道「adpt」や渋谷スクランブルスクエア「boxsta」などがあります。同じように、天井にカメラをつけて導線を調べつつ、プロダクトの前にWebカメラをつけています。

北川 
たしかにカメラを店内に付けるだけなら誰でもできるモデルですが、我われがバックグラウンドで使っているソフトウェアが、かなりつくり込まれているんです。

例えば、在庫の店舗間の移動もすべて管理し、プラットフォーム上でできるようになっていますし、店内に同じカテゴリーの商材がある場合はその比較も見られます。 
  
北川 卓司
b8ta Japan Country Manager
2004年PR会社入社後、IRコンサルティング会社、スタートアップのCEOを経て、フランスのEMLYON経営大学院でMBAを取得。 2015年ダイソン株式会社にリテールマネージャーとして入社し、世界初の旗艦店を表参道にオープン。東京統括部長を経て、2019年11月 より現職。

郡司 リテールネクストの仕組みを、顧客行動の取得のために使っていますよね。そこからデータを取得して、後はオリジナルでつくっているのですか。

北川 
そうですね。APIの形ですね。スタート当初からリテールネクストさんと組んでいて、最大限に機能を使わせてもらっています。
 
b8taのダッシュボード

郡司 今後、日本へ出店先を増やしていく際、出資元でもある丸井か、カインズの店内なのかという話が出てくるわけですが、店内に置く製品も日本と米国のどちらで募るのでしょうか。

北川 
具体的な出店に関してはお答えできないのですが、製品はシリコンバレー発なので、理想としては米国のもので半分以上、埋めたいと思っています。

ただ、米国で取り扱っている商品は販売代理店を通してすでに日本で売られていたりするので、あまり新しいものはない可能性があります。そういう意味では比率は意識せずに、日本のお客さまに新しい体験や発見をしてもらえるラインアップにしたいと考えています。

郡司 
日本では今後、サブスクリプションモデルの商材が販路に困るだろうと想像しています。以前、資生堂が表参道で化粧水と美容液のサブスクリプションモデルである「Optune(オプチューン)」のポップアップをしていたので見に行きました。 
  
郡司 昇
店舗のICT活用研究所 代表
1999年ランド設立。セイジョー(現ココカラファイン)とFC契約。2007年セイジョー入社。調剤事業部課長→営業管理課長兼ココカラファインHD調剤担当で業務効率化・コスト削減・アライアンス等担当。2013年 ココカラファインOEC社長就任。2016年 ココカラファイン統合マーケティング部長兼任。 2018年4月~現職。ITベンダーの持つ最新技術をどのように小売業で価値を持たせていくかをベンダー、小売業双方の三方良しを実現する手助けを各社でしている。

そのときに色々と聞いたのですが、ドラッグストアや百貨店なりでデモをして人がきちんと説明して体験してもらわないと、認知する人が増えないと感じました。まさに、b8taのような場所で展開していくと良さそうですね。

北川 
はい。まさに、そういった今まで販路がなかったサービスに利用してもらったり、制作過程のプロトタイプのものを出したりして、声を集めていただきたいと思っています。使い方は出品者次第で多種多様にできるはずです。

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