最新ニュースから読み解く、物流とマーケティング #08
春節明け、オフィスに入れない。新型コロナウイルス対策の実情【中国 現地レポート】
2020/03/19
中国は、どのように新型コロナに打ち勝とうとしているのか?
中国の保健当局は3月11日、新型コロナウイルスの感染者が新たに15人確認されたと発表した。中国での感染者数は合計で8万793人となったが、1日当たりの感染者は5日連続で50人を下回り、すでに日本の新たな感染者数よりも少なくなっている。
筆者は中国・四川省で、日本のECショップの業務を請け負う「成都インハナ(成都音和娜网络服务有限公司)」の董事を務めている。その成都インハナが、春節明けから現在までたどった経過を現地スタッフの報告をもとに見てみよう。
今年の春節(中国のお正月)は新型コロナウィルスの影響で、通常は1月30日に終わるはずが、2月3日まで延長された。そして2月4日に晴れて出社すると、想定外のことが起きた。
なんとオフィスビルに入れないのだ。
そこで、「中国政府に対して新型コロナウイルスの対策をしているという申請を出して、出社許可をもらわないと会社に入れない」ということが判明した。成都インハナには日本語が堪能な中国人が多く働いており、この対応は日本の会社だからという理由ではない。
すぐに成都市錦江区政府に出勤許可申請を出したが、その場では許可がおりない。そこでテレワークで乗り切ろうという話になり、「会社のパソコンを持ち出したい」と申し出て、ようやくオフィスからパソコンを持ち出せた。
スタッフはVPNを自宅に引いて、ようやく業務を再開。日本のECショップの受注対応や商品データを作成できるようになった。
そして、中国政府から出されたさまざまな条件をクリアして、全社員50人中30人が出社可能となったのは、3月に入ってからだ。
ようやく出社許可がおりてオフィスビルに着くと、非接触型体温計で体温を測られ常温の人しか入れないようになっていた。体温の高い人は入れないのだ。
さらにエレベータに乗ろうとすると、乗る人数を制限する看板がある。
そして、エレベーターに乗る「立ち位置」まで指定されていた。たとえ感染者がビルに入ったとしても、感染者を増やさないための対策まで講じられている。