ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #22

「マスク先着順」販売の否定で、ドラッグストアの利益と働きがいが向上するかもしれない

前回の記事:
なぜ「商品を売らない姿勢」が大切なのか。今夏、日本進出 b8taが明かすビジネスモデル
 

新型コロナウィルス騒動で小売店舗が疲弊

 

 新型コロナウィルス騒動で、ドラッグストアをはじめとした小売業の店員の皆さんが苦悩しています。

 本稿では、小売業の物流センターまでの供給は、マスクの主要生産国である中国をはじめ各国の情勢にも左右されますので触れません。しかし、その先にある店舗での販売方法については「もう少し良い手法があるのでは?」という問題提起を前後編でしていきます。

 冒頭で引用したツイートは、Twitter上に流れているたくさんのツイートの中の一例です。ドラッグストアに勤務する薬剤師や登録販売者をフォローしている筆者のTwitterには、こういう苦悩が毎日多数流れてきます。現場は悲鳴をあげているのです。
 


 
 この@bananatenchoさんが言う「利益をだす」と「誰に売る」の両立は可能です。今回はその方法を紹介することで、店舗が疲弊せずに(優良)顧客からの支持を高めるためのヒントになれば幸いです。
 

依怙贔屓(えこひいき)と贔屓(ひいき)


 依怙贔屓(えこひいき)という言葉があります。この言葉は、依怙(えこ)と贔屓(ひいき)という2語からなります。その意味を辞書『三省堂 大辞林 第三版』で調べてみましょう。

 依怙には、「一方だけの肩をもつこと。えこひいき。不公平。 頼りにすること。また、頼りにするもの。自分の利益。私利」という意味があります。依怙贔屓する人物が自らの利益のために、周囲を不公平に扱うというネガティブなイメージが伴います。

 では、贔屓(ひいき)は、どうでしょうか? 

 「気に入った人に特に目をかけ世話をすること。気に入ったものを特にかわいがること。目をかけて世話してくれる人。パトロン。後援者」とあります。この言葉は、応援するイメージです。

 贔屓の同義語は、「愛顧(あいこ)」になります。愛顧は、「ひいきにすること。目をかけること。多く『御愛顧』の形で、目をかけられる側が用いる」ということです。お店が常連客に対して、「日頃のご愛顧ありがとうございます」と言うときに使いますよね。そう「贔屓」は、決して悪い言葉ではないのです。

 今回の騒動に限らず、ご愛顧いただいている常連のお客さまを「贔屓」することで、収益がどう変わるかを見ていきましょう。

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