ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #27
米国水準が日本にも。ウォルマート、ホームデポが実施するBOPIS(店頭受取サービス)最前線
2020/07/17
前回は、BOPIS(店頭受取サービス)を収益性があるビジネスにするために不可欠な要素3つのうち「1.実用的な商品マスター、棚番・棚段マスターと、各SKUの保管状況データを作成し、日常の更新が的確に行われていく仕組みをつくる」について説明しました。
今回は、その3つのうち「2. Online利用可能在庫数を定義する」「3. 注文データを元に、最短でピックアップ作業の指示ができる仕組みをつくる」を解説します。
今回は、その3つのうち「2. Online利用可能在庫数を定義する」「3. 注文データを元に、最短でピックアップ作業の指示ができる仕組みをつくる」を解説します。
2.オンライン利用可能在庫数を定義する
BOPIS(店頭受取サービス)は店頭在庫を利用するため、オンラインで注文を受けて、取り置きが可能な在庫数を事前に設定しておく必要があります。この「オンライン利用可能在庫数」を定義するためには、大きく分けて3つの方法があります。事例と合わせて紹介していきましょう。
①ホームデポ型
「店(店頭+倉庫)にある理論在庫数」をそのまま表示する方法です。レジを通過するとリアルタイムで在庫が変動するレベルで更新されるからこそ実現できると言えます。
ただし、店内でカートに入れてレジ通過前のお客さまがいることや、お客さまの中には気が変わって不要になった商品を他商品の場所に戻してしまう人もいることから、注文は出来るが取り置きが出来ないという事態が発生します。一定の確率でイレギュラーが発生することを割り切って考える必要があります。
あるべき論としては正しい姿ですが、現実にこのレベルで仕組みをつくり運用するのはかなり難易度が高いのも事実です。
②ウォルマート型
ウォルマートアプリからのオーダーはカテゴリーまたはSKUでオンライン注文の上限が定まっています。客数の多いウォルマートでは同じ商品の発注が同時に複数の顧客から入ることが多々あることを考慮した設計と考えられます。プロユースも含めて客単価の高いホームデポとは顧客ニーズと購買行動が異なるわけです。
また、上限よりも在庫が少ない場合は、在庫数以上の注文が出来ない仕組みになっています。