「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 #02

LTV(生涯顧客価値)が重視される背景と、上げるための方法【ペンシル 倉橋美佳】

前回の記事:
頻出キーワード「CPA」「CPR」「CPO」の意味を理解していますか。

なぜ企業はLTVを重視するようになったのか

 第2回は、「LTV」について考えたいと思います。
 

 LTV:ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)


 ライフタイムバリューは、ひとりの顧客が特定の企業に対して、生涯でどれだけの利益を生み出すのかを指す言葉です。

 ただし、通販企業によっては、主力商品が決まっていたり、ラインナップ数が多くない単品型であったりすることから、利益率や施策の単価が一定金額となり、単純に1年間での売上を見るケースも多くあります。

 EC通販の変遷を振り返ってみると、以下のようになります。「要求KPI」とは通販企業が広告会社やメディアに対して、達成を要求するKPIのことです。
 
EC1.0 黎明期

要求KPI

=CPC(Cost Per Click)

事業者:

「CPCは100円以下でお願い。とにかく安く送客して」

判断基準:

1クリックをいかに安くできるか
EC2.0 成長期

要求KPI

=CPA(Cost Per Action/Cost Per Acquisition)

事業者:

「CPAが高いよ!もっとCPA下げて」

判断基準:

CPAがいくらで、何件獲得できるか
EC3.0 成熟期

要求KPI

=LTV

事業者:

「引上率は?引上率を考えて、CPO(Cost Per Order)で集客してね」
※サンプル商品などから本商品の購入に引き上げる割合

判断基準:

獲得した顧客が何件残存し、LTVはどうなっているか

 つまり、EC3.0での重要指標が、LTVとなるわけです。LTV重視にシフトした背景には、CPAの高騰があると思っています。例えば、CPAが低く、商品利益よりも低い単価で獲得できた場合、一回の購入で利益の回収が可能です。そうなれば、LTVを考慮する必要はありません。

 現状の通販事業でしたら、7回ほどの回転で赤字を解消し、黒転を目指すことが多くあります。そうなると、「1回目の客単価+2回目以降の客単価×回数」が重要であると考えられます。



 では、LTVはどのように算出すればいいのでしょうか。

 今回は、ある通販企業の定例指標で見ているものを参考に説明します。過去と比較がしやすいように1年を上限に、6カ月、3カ月、と期間を短く区切って計測しています。
 

 顧客LTV  =  購入単価 × 初回購入から1年以内の購入回数


 LTVは常に変化するため、常に計測しながら、施策の効果を見ていく形となります。

 では、LTVを上げるための施策にはどのようなものがあるのでしょうか。大きく3つに分けることができます。

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