関西発・地方創生とマーケティング #25
ユーグレナが18歳以下限定で「CFO(最高“未来”責任者)」を募集した理由
前編・中編に続き、ユーグレナ(和名:ミドリムシ)を活用した食品や化粧品の販売、バイオ燃料の研究などを行っているユーグレナ社の取締役副社長 永田暁彦さんへのインタビューをお届けします。最終回は、「CFO(最高“未来”責任者)」と、石垣島でのビジネスについてです(第3回/全3回)。
新たなフィロソフィー「サステナビリティ・ファースト」
ユーグレナ社は、創業15周年を迎えた今年8月に、それまで「経営理念」、「ビジョン」、「スローガン」と3つに分かれていたものをシンプルにしようと、「ユーグレナ・フィロソフィー」としてひとつに集約したそうです。
これまでは「to do」、つまり会社として中長期で目指しているものを成し遂げることを規定。一方、ユーグレナ・フィロソフィーは「to be」、つまりユーグレナ社があり続けたい姿として、「サステナビリティ・ファースト」を掲げます。どこに向かっているかより、どういう状態でいるかを優先します。
つまり、それまでも「人と地球を健康にする」という経営理念のもと事業を展開してきたユーグレナですが、それを実現するためには何かを失ってもいいということではなく、未来がずっと続いていくためのやり方や状況を優先するということです。
また、「人には本質を見極める力は、ほとんどない」と永田さんは言います。たとえば乳酸菌は顕微鏡で見ると気持ち悪いと思う人が多いのに、それが豊富に含まれたヤクルトは多くの人が飲んでいます。ミドリムシも、”ムシ”という名前がついているだけで、実際は藻類で、その本質が変わるわけではありません。
「本質というのは、それを提供する企業側が持っていることが重要である。それは本質にたどり着くよりも重要なこと」と永田さんは言います。
「自分たちが本当にやりたいのは、社会の意識を変容させること。たとえば、ペットボトルは環境に負荷がかかるので、ペットボトル商品の購入をやめてもらうこと。でも、それを実現するには時間がかかるし、実際には簡単なことではありません。だけど、そもそも我われ企業側がペットボトルに入れた商品を売らなければ、消費者は手に取りようがない。これはつまり、本質にたどり着いていなくても、社会変革は実現できるということです」