ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #31

ワコール、FABRIC TOKYOが挑戦。新3DボディスキャンがZOZOと同じ末路を辿らない理由

 

FABRIC TOKYO STAMPが提供する体験


 前回の 「商品を販売しても1円もお金が入らないお店の正体。日本進出 b8taの最新店舗を体験」でも、b8ta有楽町店にSTAMPの3Dスキャンボックスがあることに触れました。STAMPは完全無人で3Dスキャン採寸によりジーンズがオーダーできるFABRIC TOKYO 社のD2Cブランドです。

 高精度3Dスキャナーで計測された500万箇所のサイズデータをもとに、独自のサイズロジックにより、癖や体型による補正値も加味したオーダーメイドジーンズが注文できるサービスです。

 こちらは男性も利用できますので、筆者自ら体験してみました。測定は数秒で終わりました。筆者はb8ta有楽町店を利用しましたが、店では測定だけします。入口でLINEを登録すると、翌日測定結果がLINEで送られてきます。
 

 この測定データに加えて、習慣やライフスタイルへの質問に答えることで最適な製品を提案してくれます。その質問は、「普段、仕事をしている場所」、「スマートフォンをどちらの手で持つ(スマートフォン用ポケットの位置が決まる)か」、「どんな靴を履くか」、「服選びにシルエットと動きやすさのどちらを重視するか」、「週何着のパンツを着回すか」といったものです。

 実際に注文すると、「型紙の制作>縫製の開始>最終仕上げ>到着予定」のタイミングで通知が来ます。このステップがあることで、届くまでのワクワク感を感じました。

 そして製品が到着すると、フィット感をチェックします。従来、履いていたジーンズに比べると、フィット感が段違いで良かったです。「これ以上、太れないな…」と感じました。





 意外と嬉しかったのが、ポケット裏に名前や注文日、シリアルナンバーが書かれていることです。自分だけのジーンズを入手した喜びを実感できます。

 他にも3Dスキャンによるパーソナライズサービスとしては、コーセーのコンセプトストア「Maison KOSÉ」に導入された3Dスキャンを活用し、一人ひとりの顔型に合わせたシートマスクを提供する「FACE MASK FACTORY」などがあります。

 いずれも千差万別な「個」に対して、体験と製品を最適化して提供するサービスであり、コロナ禍における「非接触」という理由だけで支持されているわけではありません。

 前述したように、ZOZOSUITは水玉デザインも含めた奇抜さで話題になったものの、測定体験は決して良いものではありませんでした。今回、紹介した最新サービスは良い体験(コト)が先にあって、製品(モノ)に繋がっている点で、異なる成長をしていくと考えます。

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