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営業とマーケティング、融合の秘訣 #02

社内の“火中の栗”は誰が拾う?営業とマーケティングの融合【日本KFC 小山典孝】

前回の記事:
「営業とマーケティング部門の連携は、永遠の課題。その解決に向けて」日本KFC 小山典孝

社内のハブ組織は、努力の見える化が鍵

 前回、ご説明した営業とマーケティングの袂の違いは、分かっていただけたでしょうか。生まれも育ちも価値観も違う2つのチームが、共通の経営目標を達成するためには「オペレーショナルマーケター」のポジションと、それに適した人財が必要です。

 オペレーショナルマーケターとは、営業とマーケティング部門の間に立ち、両者の連携を推進させる存在のことを言います。

 各部署を機能させ、化学反応を起こすためには、社内のハブとなって調整するポジションが必要であり、そのセクションは社内のスタッフから見ても、わかりやすいように努力し、結果を“見える化”することが大切です。
 
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 さらに、オペレーションマーケターは、「何かおかしい」「本来なら、こうなっているはず」など、現場で培った人しか理解できないような異変への直感的な気づきが必要不可欠です。そのため、エリート組には不向きです。むしろ、社内の情報が集まり、信頼が強い№2クラスの人材が最適です。嫌われ者や利己主義者には、絶対に務まらないでしょう。

 人は成功事例に縛られがちで、その施策がなぜ成功したのか、充分に紐解くことなく、同じ打ち手を講じようとします。環境が変われば、結果も変わります。同じ環境下でも同じことを続けていれば、現代社会ではニュース性が薄れて、世の中の景色に埋もれてしまいます。

 特に、マーケティング分野では、客観的に分析しながら、常に消費者や顧客の目線をベースに物ごとが決められていきます。マーケティングの販促施策でも、目標が未達に終わる場合があります。私自身の経験でも、キャンペーンの目標達成率は42%でした。アジアマーケットも、ほぼ同水準です。つまり、企画は4勝6敗(10戦中)が普通なのです。

 気を付けるべきは、連敗しないこと。そして、事業の最繁忙期に絶対に敗けないことです。プロ野球のペナントレースと同じです。目標達成しても、未達でも、客観性をもって「機能したこと・機能しなかったこと」を振り返り、ダメだったことについて、謙虚に自分の非を認め、素早く次のアクションにつなげる習慣を意識することが重要です。

 売上予測などの読み違えはあって当然です。マーケティング企画はクイズ番組のように正解はありません。日々一刻、変化する環境下で打ち手を考えて、勝つ確率を上げていく、証明問題を解き続ける“詰将棋”のような存在だと私は思っています。

 よって、マーケターはジレンマを克服し、打ち手を講じ続ける“胆力”が重要なのです。人は失敗からしか学ばないものです。結果の読み違いを恥じることはありません。気づいた時点で素早く修正することが大切であり、むしろ修正するために計画を立てているのです。

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