ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #38
実態商圏を見る際は、「顧客のために」では失敗する:場に合わせる店、場を作る店③
前回(場に合わせる店、場を作る店②)は、コンビニエンスストアをはじめとした小商圏の小売業において「場」に合わせることの重要性について書きました。今回は、その「場」を分析する手法について考えます。
距離商圏と実態商圏の違い
距離商圏については前回書いた通り、単純な距離で分けると、以下の3つになります。
1次商圏:徒歩で10~15分程度(年代による)のほぼ毎日来店可能な範囲
2次商圏:自転車で10~15分程度の週単位で来店する範囲
3次商圏:電車や車で30~40分程度の月単位で来店する範囲
2次商圏:自転車で10~15分程度の週単位で来店する範囲
3次商圏:電車や車で30~40分程度の月単位で来店する範囲
一方で実態商圏を分析する際は、距離商圏は参考に過ぎません。なぜかと言うと、商圏は川や線路で分断されますし、片側3車線以上あるような幹線道路でも分断されます。車で30分と言っても、道路の混み具合で異なります。このように様々な要因がありますので、既存店の商圏分析においては、実態商圏を使用します。
実態商圏の場合、次のように顧客の売上構成比で商圏を分けます。
1次商圏:店舗から近い順に顧客を積み上げた際に、売上の◯%(一般的に60~70%)を構成する顧客の居住範囲
2次商圏:1次商圏以遠で、売上の△%(一般的に20~30%)を構成する顧客の居住範囲
2次商圏:1次商圏以遠で、売上の△%(一般的に20~30%)を構成する顧客の居住範囲
◯%や△%といた数値は、顧客の分布状況や企業の考え方で調整の範囲と考えます。また、1次商圏で顧客の65%、2次商圏で顧客の25%を構成する場合、2次商圏外の顧客が10%存在することになります。ここは「たまたま用事で来て、通りかかった」「以前、近くに住んでいた」などイレギュラーな客が大部分のため、分析対象からは除外します。ハズレ値の除外は、データ分析の基本です。
売上の構成比以外にも、来店頻度が月◯回以上などの商圏分析方法もあります。これを行うためには、ID-POSシステムの導入と会員カードの推奨が欠かせません。