関西発・地方創生とマーケティング #30前編

営業利益115.3%増、「BOTANIST」を軸に業績を伸ばすビューティーテックカンパニーI-neはどのように成長したのか

     

コスパの良いシャンプーよりもBOTANISTが選ばれるわけ

    
 発売当初、1400円もするシャンプーは「高い」と感じられていたそうです。確かにドラッグストアでは、半額以下でトリートメントとセット売りされているブランドもありました。でも、価格が高いのは、サロンと同じクオリティーだから。広告宣伝費などのマーケティングコストもかけたいし、そもそも、EC販売をメインとした場合、定期売りしない限り1000円以下の価格設定だと、どうしてもCPO(新規顧客の獲得単価)が合わなくなる。だから決して安く販売しようとは考えなかったそうです。そしてROAS(掛けた広告費で得られた売上)についても、200%以上を維持できるよう、常に意識していたと。
 
 その当時、「BOTANIST に早くから着目してくれたのがLOFT様やPLAZA様などのバラエティショップ」だったと伊藤さんは言います。20代から30代の女性がメインターゲットであるそれらの店舗におかれている商品は、価格よりも品質へのこだわりを売り文句にしている商品が多いので、親和性があリました。
  
 そして、しばらくしてドラックストアの棚に置かれるようになってからは、想定のターゲットよりも幅広く20代から50代までに愛用いただけるブランドになったと。ドラックストアの来店者層と同じ年代がそのまま購買層になったのです。
      

幅広い年齢層に受け入れられる理由

       
 都心に住む40・50代の方は、男女問わず見た目や気持ちがとても若いと感じるし、またスマホの普及率も高くなり、流行りのサイトで情報収集して、新しい商品を試してみようというアクティブさを持っている。そしてSNSの浸透でさらに情報リテラシーが上がったことも、幅広い年齢層に受け入れられる理由なのだろうと。
 
 パッケージデザインは「植物と共に生きる」というブランドコンセプトに基づき、植物のようにライフスタイルに調和する、シンプルで洗練された白と透明と黒のみで構成されており、浴室を少しでも気持ちのいい空間にしたければデザイン性の高いおしゃれなヘアケア商品を揃えたくなりますし、娘さんが使っているものを自分も使ってみて、気にいる方も多いそうです。いまはユニセックス商品が多く、使う人を制限しませんし、良いものを共有しようという価値観に変わったのでしょう。(後編につづく)
        

※後編「「BOTANIST」などヒット商品を連発するI-ne、ブレない理念と強みとは?」に続く
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