関西発・地方創生とマーケティング #30後編

「BOTANIST」などヒット商品を連発するI-ne、ブレない理念と強みとは?

      

顧客レビューは企業の資産

   
 ところで、皆さんはシャンプーを買う時は、何を気にされますか? ホテルでもそうなのですが、香りというのは結構、人の記憶と判断に影響を与えるようです。街ですれ違いざまに、ふっと入ってくる香りで誰かのことを思い出したりします。また、ホテルのロビーに入った瞬間の香りが好きだという方もいらっしゃいます。実際、私ども都ホテルのECで一番の人気商品はフレグランスです。
 
 そんな大事な香りを、シャンプーを買う時に試せないオンラインは一見、不利に思いますが、実はメリットもあるようです。それは、商品購入を検討するときにゆっくりと読んでもらえる、そして何よりも「レビュー」です。企業が売り込みたいがために書いたものではなく、利害関係のない一般のお客さまの声であるがゆえに信憑性があります。
 

 ここもホテルと同じです。最近では、一休.comなどのOTA(online travel agent)が予約チャネルに占める割合は増えてきています。みなさんもホテルの予約に使ったり、そしてレビューを参考にされたりしませんか。まさにレビューは、企業の資産だと言います。
           

シャンプーと美容家電の売り方の違い

       
 もうひとつ、口コミで人気の美容家電ブランド「SALONIA(サロニア)」があります。こちらは高機能なのに価格は抑えめです。
        
salonia
        
 一般的にシャンプーはクオリティーの高い商品を低価格で提供し、反対に美容家電は普通の性能のものを高価格で販売するようですが、BOTANISTは高品質適正価格でブルーオーシャンを狙い、SALONIAは高機能低価格のブルーオーシャンを狙います。
 
 また、家電のプロモーションはシャンプーと違って、ダイレクトマーケティングのように「買ってください」とプッシュするのではなく、SEO対策をきっちりするなど受け身でも自然とニーズは掴めるそうです。特に、家電はどういうレビューを見ているかなど、デジタル上での消費者行動に着目して対策することが重要なのだと。
 
 これについては、以前取材したシャープの山本さんや、ダイキンの片山さんも仰っていました。家電は広告を見たからと言ってすぐに買うものではない。いつか、例えばエアコンの調子が悪くなった時に、「ああ、そういえばエアコンと言えばシャープだな」、「ダイキンだな」と想起してもらえるように、常にお客さまとの接点を持っていることが大切だということです。

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