関西発・地方創生とマーケティング #31前編

古い日本家屋を人気ホテルに。リソースをデジタルで繋いで地方を活性化 NOTE代表 藤原岳史

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 ワクチンの接種率が上がってきているとはいえ、新型コロナの影響はなかなか先が見えず、特に観光業界は厳しい状況が続いています。そんななか、コロナ禍でもそこまで大きな影響を受けずに運営しているホテルがあります。それは、古民家などを改修して宿泊施設に変える「NIPPONIA」です。現在は、兵庫県や山梨県、千葉県など15道県に27施設を展開しています。

私が「NIPPONIA」のことをはじめて知ったのは、兵庫県丹波篠山の城下町を訪れたときです。古い日本家屋に「NIPPONIA」と染め抜かれた暖簾がかかっているのを見て、何となく「良いな」と感じました。それが最近、別の場所でも見かけたため、Webサイトで調べてみると、「郷(さと)にいること」というコンセプトで日本の原風景を体感する滞在施設と書いてあり、同業としてますます興味を持ちました。
 
Webサイトから NIPPONIAの価値 郷にいること。

 さらに、そのNIPPONIA事業に取り組むNOTE代表の藤原岳史さんがITベンチャーのメンバーでIPOを経験したのち起業されているということもあり、その経緯と前職の経験がいま、どのように活きているのかについて聞きたいと思い、インタビューさせてもらいました。
 

バラバラなリソースをデジタルで繋ぎたい


 藤原さんは以前、CRMサービスを提供するITベンチャーのシナジーマーケティングに在籍していらっしゃいました。クライアントはほぼ東京、大阪などの都市部の企業でしたが、ご自身が兵庫県・丹波篠山の出身だったこともあり、いつか場所を問わずITを使って地方でも何かできないかと考えていたそうです。
 
藤原岳史
NOTE代表

 そして同社の上場を経験して、改めて自分がやりたいことは「いまの仕事ではない」と気づき、これまでに仕事で培ったスキルを故郷の活性化に役立てたいと独立します。

 前職で学んだのは、「どんなデータも単体ではバラバラで使えないけれど、デジタルで繋いでまとめることによって使えるデータになり、それを分析すれば価値が出る」ということ。

 そして藤原さんご自身もそうなのですが、地方では高校卒業後の若い人材の多くが東京、大阪などの都市部に流出してしまっています。ただ、そうした人材の中には地元に帰れないけれど、地元のためになら手伝ってもいいという人たちがいます。
 
 そんな人たちの知識やスキルを、週末などの自由になる時間にデジタルを使って活用できないか。「リソースがバラバラで、バリューが出せない、マーケティングができないという問題を解消したかった」と言います。

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