リテールから考える「マーケティングの本質論」 #04
知らないと損する「ゴールとプロセス設定」の効果的な使い方【コメ兵 藤原義昭・後編】
パーチェスファネルは「アンモナイト型」へ
見込み客にアプローチしてから、購買にいたる道は長い旅と言えます。しかも、一度の購入が終わりではなく、そこからが顧客との関係のスタートだとも言えます。顧客は初めての購入後も何らかの問題を抱えていたり、自分をより進化させるための助けを必要としたりするかもしれません。したがって、その後の関係性を考えると、従来のパーチェスファネルの考え方を変える必要があります。それは次の図のようにパーチェスファネルが「漏斗(ジョウゴ)型」から、「アンモナイト型」になったと言え、顧客の再購入や口コミが重視されるでしょう。
ただし、ここで重要なのは、購入後の顧客のステータス管理よりも、良い体験を提供し続けて関係性を深めることです。
「GFA(Gap Finding Approach)」とは
ここからは、私が「GFA(Gap Finding Approach)」と呼んでいる手法をご紹介します。パーチェスファネルと顧客のカスタマージャーニーの“いいとこ取り”で管理する方法です。本来のカスマージャーニーは、顧客とのエンゲージメントを深めて、ロイヤルカスタマーをつくり出すために、顧客の意識と行動がどのように変化したかを捉えて、接触の仕方をデザインするものです。そして、パーチェスフローは購買までの流れにおいて、顧客の意識や行動を明確にして管理する方法でした。
「GFA(Gap Fainding Approach)」は、このカスタマージャーニーとパーチェスフローのエッセンスを取り入れて、現場が管理しやすくしたものです。名前の「ギャップを見つける」の通り、パーチェスファネル上の数値を可視化し、目標のKPIと実際の数値のギャップから「どこに問題があるのか?」を明確化し、「どんなアクションを起こすのか?」までを一気通貫で行い、KGIの達成を目指します。
KPIの設定で間違えやすいのは、ひとつのKPIに集中してしまうことです。KGI達成のための因子はいくつかあり、これらは連続していて関係性があります。
■GFA(Gap finfding Approach)の手順
- パーチェスファネルを設計
- 実数値の計測
- GAPの確認と足りない数値の設定
- 行動KPIの設定
- モニタリング
これを使うことによって、次のメリットがあります。
- 設計側と執行側(今回だとマーケティングと現場)の認識統一ができる
- 具体的数値に落とし込むため、納得感が得られやすく行動に移しやすい
- 上記同様、具体的数値に基づくため評価がしやすい
- 課題発見がしやすい
- 責任(だれが動くか)の所在を明確にしやすく行動までの時間が短縮できる
それでは、前回のアパレル店を例に考えてみましょう。