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営業とマーケティング、融合の秘訣 #03

営業部門とマーケティング部門の溝を埋める「オペレーショナルマーケター」の動き方【日本KFC 小山典孝】

前回の記事:
社内の“火中の栗”は誰が拾う?営業とマーケティングの融合【日本KFC 小山典孝】

部門間の溝を超えて顧客体験をつくる

 営業部門とマーケティング部門の間には、必ずと言っていいほど「溝」ができてしまいます。コミュニケーションや相互理解の不足によって、本来同じ目標に動くべき両者が対立関係になってしまうことが多いのです。

 私が提唱している「オペレーショナルマーケター」というポジションは、営業とマーケティング部門の間に立ち、両者の連携を推進させる存在のことで、各部門を機能させて化学反応を起こすために、社内のハブとなる調整役です。

 新商品を出すだけでは、売れない時代。商品とその買う理由を同時にターゲット顧客へプレゼンして認知させて、購買行動を起こさせる活動が必須の時代になりました。
 
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 KFC(ケンタッキーフライドチキン)のビジネスモデルは、お客さまに店舗にご来店いただかなければ、商売になりません。店舗内の客席で出来たての商品を喫食されたり、テイクアウトして家族と食卓を囲んだり、ドライブスルーで購入して移動中の車内で少し遅めのランチをとったり、それぞれの状況に合わせて商品を楽しんでいただいています。

 それぞれのお客さまに感じていただく商品こそがKFCの「提供価値」になるのです。この一瞬の顧客体験をつくり出すために、各部門がそれぞれの役割を遂行し、お客さまに「おいしさ(=しあわせ)」を提供することがフードサービスの原点です。

 どんなに美味しそうなテレビCMやWeb動画を配信しても、実際の顧客体験が不十分では、売上は伸びません。むしろ、将来の来店を失う「売下(うりさげ)」になります。
 

「うちは、営業力が弱い」と言っていませんか

 そうした状況を踏まえて、営業とマーケティング共創のポイントは、4つあると考えています。
  1. 同じ言語で話す(数字をベースに、週次に、ダッシュボード化)
  2. 相互フィードバックを実施する
  3. 数値責任を明確にする(KPI設定)
  4. 顧客視点で気楽にマジメな話をする
 マーケティング側から「営業力が弱い」ということが、よく言われると思います。これは、思ったほど売上がないという意味で使われることが多いのですが、本来の意味は「店舗で顧客に期待される品質・サービスが提供できていないこと」を言います。

 「営業は結果」と言われますが、結果だけでは何も見えません。その結果に至った経緯や背景、理由にこそ実態があるのです。この状況を打開するためには、店舗より川上に位置するファンクションが“顧客のために改善する”という強いパッションをもって課題に立ち向かうサイクルをまわし続けることが必要です。
 

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