ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #47

ファミリーマートの「処方薬」受け取りサービスから、オンライン服薬指導の利便性を考える

前回の記事:
超高齢社会の日本、イオンの試みからドラッグストアがショッピングセンターの中核になる可能性が見えた
 

ファミマの店舗で医療用医薬品が受け取れるサービス


 初対面の人に伝えると高い確率で驚かれるのですが、筆者は薬剤師です。したがって「医療×小売」のニュースには関心が強いほうです。そういうわけで、ファミリーマートのプレスリリース「処方薬を店舗にて無料で受け取れるサービスを東京都内約2,400店で展開~ファミマシーと『とどくすり薬局』の取り組み~を見て、実際に体験してみました。

 このサービスは、ファミリーマートと、おかぴファーマシーシステム(凸版印刷の100%子会社)が協力して、ファミリーマートの東京都内の約2400店舗(一部店舗除く)で処方薬を送料・手数料無料で、最短翌日に受け取ることができるというものです。



 
 実際に筆者が体験してみた結論を先に書くと、オンライン服薬指導が普及する「ハードルの高さ」を再認識しました。そもそもオンライン服薬指導の普及には大きなハードルがあります。それについてはダイヤモンド・チェーンストア・オンラインで書いています(日本でオンライン診療・服薬指導が普及しない理由)。

 ちなみに処方薬とは、医療機関での医師の診断に基づき、患者の体質や症状に応じて処方される医薬品を指し、正しくは医療用医薬品という区分に該当します。有効性が高い半面、副作用が出ることもあるため、医師の処方がなくても薬局などで購入できて効き目が穏やかな一般用医薬品(市販薬)とは明確に区別されています。
 

オンライン服薬指導なのに医療機関からFAX…


 実際に「ファミマシー」を利用しようと思い、そのサービス内容をかかりつけ医を受診待ちしている間に確認したところ、診察時に医師に次の画面を見せながら依頼してほしいという旨が記載されていました。



 そこで私も診察時、医師に画面を見せながら、処方箋に「オンライン服薬指導希望」と「私の携帯電話番号」を記載してもらいました。また、処方箋のFAXについては、医師に何度か説明した後、受付で実施してもらえることになりました。

 処方箋に「オンライン服薬指導希望」もしくは「0410対応」と記載してもらう理由は後述するとして、なぜ医療機関に処方箋をFAXしてもらう必要があるのでしょうか。患者自らがスマートフォンで処方箋の写真を撮って送れば済む話です。

 おそらく、ここには医療機関側からの服薬指導のルートをつくっておきたいという狙いがあると考えます。病院側がこの作業をすることで、別の患者がオンライン服薬指導を希望したときに「ファミマシー」を最初の選択肢として医師から勧めてもらいたいと考えられます。筆者は、薬剤師として医療提供施設で働いたことがありますので、事業者都合で医療機関の本業を阻害することに違和感を感じました。

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