関西発・地方創生とマーケティング #35

無料でプログラミングが学べる。リスキリングで注目のフランス発エンジニア養成機関「42 Tokyo」とは?

前回の記事:
マーケティングでもキャリアでも、大切なのはポジショニング【BICP 代表 菅恭一】
 

謎のプログラミング学習機関「42 Tokyo」とは


 今年のお正月の日本経済新聞の記事「リスキリングが変える」を読まれた人もいるのではないでしょうか。リスキリングとは、次の時代に必要とされる仕事や業務に就くために、新しい知識を得て、自らのスキルを大幅に刷新させることを指します。特にデジタル改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けて注目されている考え方です。今回は、その記事の中で紹介されていたフランス発のエンジニア養成機関「42 Tokyo(フォーティーツー)」についてお伝えします。

 ところで、読者の皆さんは「42 Tokyo」を知っていましたか。私自身、1年ほど前まで聞いたことがありませんでした。ある日、身内から「42 Tokyoの試験を受けようと思っている」という話を聞いて、初めて知ったのですが、いざ検索してみると、公式サイトはあるものの、それ以外の情報がほぼありません。


42 Tokyo公式サイト

 そして、そのサイトで気になったのは、「フランス発エンジニア養成機関」と「完全無料」という言葉です。グローバルで展開している学習機関で、プログラミングが無料で学べる。この情報だけを見ると、良いのか、悪いのか(逆に怪しい、あるいは安かろう悪かろうなのか)よく分かりません。

 誰が運営しているのか、その目的と原資はどこから出ているのか。調べてみたところ、日本では、DMM.com 会長 兼 CEOの亀山敬司氏が代表理事で、その他のスポンサーとしてはマイクロソフト、ネスレ、メルカリなど、そうそうたる企業が名を連ねています。また、「学歴や職業に関わらず、挑戦したい人には質の高い教育を提供すべきで、誰もが挑戦できる環境を用意した」とあります。悪くなさそうです。
 

お互いに助け合いながら取り組むリスキリング


 ところで「リスキリング」については、今のままの将来に不安を感じていたり、進むべき道が見えていなかったりする人にとっては、自らを変えるいい機会として注目すべき考え方なのではないかと思います。

 ただし、今在籍している企業で生活を保障されながら、業務として学ぶことができる人と、そうではない人がいます。当然、後者の場合は、学ぶための時間と、そのためのお金が必要となります。そうした中で、無料でプログラミングを学ぶことができるのは魅力的です。しかし、無料だからといって、条件が緩いというわけではなく、入学や在学の条件は厳しいようです。

 実際に私の身内が受験したのですが、試験が1カ月間にもわたり、東京・六本木にある校舎近くのホテルに連泊していました。社会人が乗り切る試験としては、なかなか高いハードルです。



 そして何とか合格して、昨春から在学することになったのですが、面白いのは先生がいないということです。「42 Tokyo」から課題が出され、それをクリアして学生同士で評価します。合格すると、次の課題に進むことができるのですが、厳しいのは、課題をクリアするための持ち時間が予め決まっていて、その時間を使い果たしてしまうと、その時点で退学になるということ。ただ、課題を一つクリアするごとに持ち時間が加算されていくようです。

 また、課題はひとりで取り組むのではなく、学生同士がお互いに協力しながら取り組みます。いわゆる、「ピアラーニング(学習者同士が、お互いに協力しながら学び合う学習手法)」で、プログラミングの属人的なスキルのみに頼るのではなく、いかに周りとコミュニケーションをとり、助け合って進めていくことができるかを大切にしているプログラムのようです。
   
ホワイトボードを活用している学生の様子

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