関西発・地方創生とマーケティング #36前編

世界観で話題、低アルコールのクラフトカクテル「koyoi」が2年で成長できた背景【SEAM代表 石根友理恵氏】

 

石根さん自身の魅力が「koyoi」を飛躍させている


 セブンルールをはじめ、さまざまなメディアへの出演や、いろいろな取材を受けているのはなぜなのか聞きました。石根さんは「正直、自分でもわからないです。ただ、お酒という古い業界に、ブランドづくりをする女性が現れた。しかも、このひとつの事業にすべてを賭けている珍しい存在だということ。さらに低アルコールカクテルという女性向けの商品で、そのクリエイティブについても珍しいからなのではないかと思います」と言います。
  
セブンルール出演時の石根氏

 また、「koyoi」を発売して2年足らずにも関わらず、GINZA SIXやヒルトン東京など、有名な商業施設やホテルを販路開拓し、取引できているのはなぜなのか。

 私も仕事柄、いろいろな提案を受けますが、その場で話が終わることもあれば、実際に取引に繋がることもあります。その都度、何かしらの要因で判断を下しますが、「koyoi」の場合、それは何なのかについて聞きました。


Ginza Sixとのコラボレーション

 石根さんは「戦略として、美味しい、そして憧れのイメージを出し続けたことが販路拡大に繋がったのだと思います」と話します。

 続けて、「ラグジュアリーな空間は、非日常を楽しむためのもので、普段はお酒を飲まない人でも、飲みたくなる空間です。そういう気分のときにソフトドリンクではなく、あくまでもお酒で独特な高揚感を味わってほしい。また、すぐに酔ってしまうと、その後の心地よい時間が削られてしまうから、すぐに酔わないようなお酒があると嬉しい。以前からお客さまに、そんな飲み方ができる商品が欲しいと言われていて、そんな今までにありそうでなかった珍しい商品だったことが要因かもしれませんね。もちろん、飛び込みで営業することもありますよ」と販路拡大につながったことについて語ります。

 一方で、当然課題もあります。それなりの価格帯の商品になるので、今後は売り方を工夫していくそうです。たとえば、今後はデパートなどの手に取りやすい場所に展開していく必要があり、そういう意味で今期は自分の手腕が問われるタイミングだと石根さんは言います。ときには、石根さん自身がポップアップショップの店頭に立って、お客さまに直接、商品を説明することもあるそうです。
  
デパート販売の様子

 次に資金調達について聞きました。はじめに開発資金として1回、次にある程度、売上が伸びてからもう1回、投資として1.1億円、融資を含めると合計1.4億円を調達出来たのは何故なのか。

「それは私のパッションです!」と石根さんは、言い切ります。実際、投資家からのレビューを聞いても、チームのポテンシャルに加えて、特に石根さんは「絶対に逃げ出さない」、「なにがなんでもやり切るでしょう」という評価をもらっているそうです。さらに、「たとえひとりになっても続ける覚悟が出来ていることが、投資家にも伝わったのだと思います」と話します。

 あとは、大手が参入できない戦略で、低アルコール分野のブランドを築いた事業性に対しても、ポテンシャルを感じたのではないかと言います。ここまで話を聞くと、「koyoi」という商品と、石根さん自身の魅力に集約されているように思いますね。

※後編「低アルコールのクラフトカクテル「koyoi」、マーケティングとロマンの掛け合わせで伸ばす【SEAM代表 石根友理恵氏】」に続く
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