関西発・地方創生とマーケティング #36後編

低アルコールのクラフトカクテル「koyoi」、マーケティングとロマンの掛け合わせで伸ばす【SEAM代表 石根友理恵氏】

前回の記事:
世界観で話題、低アルコールのクラフトカクテル「koyoi」が2年で成長できた背景【SEAM代表 石根友理恵氏】
  低アルコールのクラフトカクテル「koyoi(コヨイ)」を扱うSEAM代表の石根友理恵さんをご存知でしょうか。昨年11月、フジテレビ系列で放送されている、7つのルールで話題の女性の人生を映し出すドキュメントバラエティ『セブンルール』に登場していて、ぜひ一度、話を聞きたいと思い取材しました。前編 では、起業と低アルコール市場を選んだきっかけや「koyoi」のコンセプトと好調の背景について聞きました。後編では、マーケティングと経営の関係性や、人を採用するときに意識していること、そして最後に起業を志す人へのメッセージも頂きました。
 

「私が太陽になる」


 経営者として気を付けていることについて聞くと、石根さんから、開口一番、「私が太陽であり、指針になることです」と、返事がありました。自分自身が責任を負っていることを明確にして、その決意を自宅のトイレに貼って、毎日独唱しているそうです。また、MLBのロサンゼルス・エンゼルスに所属している大谷翔平選手が活用していて有名になった、マンダラチャートの真ん中には、その年の売上と利益目標を記入して、毎年書き換えているそうです。因みに、これがとても効くそうで、私も実践してみようかなと思いました。

 そして、「今は自分が一番頑張るフェーズです」と石根さんは語ります。ただ、頑張るにもさまざまな頑張りがあります。身体を動かすとか、頭を使うとか。そこについては、「性格上は身体が先に動くこともあり、今は考えることが3割。だけど、扱う金額が大きくなってきて、今後はより拡大していきたいので、今年は考えることを9割にして、正しい意思決定をしたい。そして、動くところはメンバーに任せて、残りの1割で押さえるべきところをきっちりと押さえる、そういうチームの構築が大事。」だと言います。
  
SEAM 代表取締役
石根 友理恵 氏

 さらに、投資家の期待に応えるための未来の設定、つまり事業の山を越えるための方法については、1年半先までは想像できるけど、それではだめで3年以上先から逆算しないといけない、それが今期前半の考えるべきことだと、自分自身に大きな課題を設定しているそうです。

 とは言え、インプットしなければアウトプットはできないので、考えてばかりではなく、動くことも大事です。因みに私の場合、夜のジョギング(というより散歩)のときに思考が進むのですが、石根さんの場合は会社で、「集中タイムなので邪魔しないで!」と意図的に時間をとって、考える環境を確保しているそうです。
 

「マーケティング」と「ロマン」の掛け合わせが経営


 前職ではマーケティング関係の仕事をし、そして今は経営者である石根さんにとって、マーケティングと経営の関係について伺いました。

「経営はマーケティングが半分、そして自分たちのロマンを追いかけることが半分」と石根さんは話し、後者のロマンをどう成し遂げるかがマーケティングであるとします。そして経営者には、実現したい未来がないとだめで、たとえばそれがお金儲けで金銭的に幸せになることでもいいし、自分たちのように、安心安全で幸せなお酒空間を提供することでもいいと言います。

 しかし、このロマンを掲げるということは凄く大変なことで、組織に浸透させるためには社員に対しても言い続けなければいけないし、その仕組みをつくっていくのはなかなかハードルが高いことです。ただ、その大変なことをしっかりやっていくのが経営のひとつであり、自分たちがそう思い込むことによって、それを世の中に広めていくことがマーケティングだと語ります。

 また、会社のミッション、ビジョンは石根さん自身がひとりで考えるそうです。これは過去に取材した経営者も話していましたが、本来そうあるべきものなのだと改めて思いました。

 そして、そのミッション、ビジョンに共感して集まったメンバーとビジョンドリブンなチームをつくる。セブンルールでも「石根さん自身はどうしたいのですか?」とメンバーから問われるシーンがありましたが、それは日常的なことだそうです。

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