ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #50

ChatGPT時代の生成AIは、小売業のビジネスをどう変えるのか?

前回の記事:
和菓子がコンビニのレジ横にある理由とは? 「レジ周り」は最強のリテールメディアになる
 筆者は昨年から無料のGPT3.5をベースにしたChat GPTを使っていましたが、より高性能なGPT4が3月15日に日本でも使えるようになってからGPT4を使い込んでいます。4月後半にはワイドショーでもChat GPTやBardなどを取り上げるようになりました。連載第50回は、生成AIが小売業の未来にどう影響するかについて、LLM(大規模言語モデル)の出現以前からAIを提供するIT企業のお手伝いも複数社している筆者が考えてみました。長くなりますので、前後編の構成です。
 

生成AIとLLMの簡単な説明



OPEN AI「ChatGPT」

 まずは、生成AIとLLM(大規模言語モデル)について簡単に解説します。わかっている人は読み飛ばしてかまいません。

 生成AI(Generative AI)とは、テキストや画像、音楽など新しいコンテンツを生み出すことができる人工知能の一種です。既存のデータから学習し、そのデータを使って新しいパターンを生成することで実現します。背後には「ニューラルネットワーク」という技術が使われています。

 ニューラルネットワークは、人間の脳が情報を処理する仕組みを模倣したものです。脳の神経細胞(ニューロン)が信号を受け取り、処理し、次のニューロンに送るように、ニューラルネットワークも情報をパーセプトロンという関数を多層化した層を通じて伝えていきます。

 LLM(大規模言語モデル)は、「Large Language Model」の略です。テキストを扱うことに特化した生成AIの一種で、その仕組み自体はシンプルなものです。

 まず大量のテキストデータ(本、ウェブサイト、記事など)を読み込みます。そして、そのテキストデータから、どの単語がどの単語の後に来るのか、どのような文がどのような文の後に来るのかというパターンを学習します。これは人間が本を読んで新しい単語や表現を覚えるのと似ています。そして、その学習結果を使って新しい文章を作り出します。例えば、「お金がなかったので夕飯は」という文が与えられたとき、LLMはその後に何が来るのかを学習した結果から「自炊することにした」という文を生成します。

 ただし、LLMは人間のように世界を理解する能力はありません。それは、学習したパターンを基に可能性の高い文章を生成するだけです。そのため、LLMが生成した文章が常に正確であるとは限らないことを理解しておくことが重要です。

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