ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #53

北陸の地場スーパーがすごい。カジマートを見逃してはいけない、これだけの理由

前回の記事:
北陸の好調ドラッグストア2社は、小売業のマーケティングに多くの示唆を与えてくれる
 石川県金沢市と加賀市の小売視察レポートをお届けします。前回(北陸の好調ドラッグストア2社は、小売業のマーケティングに多くの示唆を与えてくれる)は、売上好調の有力ドラッグストアを紹介しました。今回は、地場の食品スーパーマーケットについてまとめました。
 

1日半で視察した主な店舗


 先日の石川県金沢市と加賀市小売店舗視察で10分以上、視察した店を列挙します。

・マルエー 彦三店
・ゲンキー 潮津店
・クスリのアオキ 作見店
・クスリのアオキ 山代店
・ドラッグストアコスモス 山代温泉店
・ゲンキー 白山町店
・クスリのアオキ 伏見台店
・酒のぬまた
・ゲオ金沢久安店
・アルビス 泉が丘サンピア店
・V・drug 泉が丘店
・キリン堂 長坂店
・カジマート 長坂店
・スギドラッグ 金沢大手町店
・カジマート 北安江店
・アル・プラザ金沢
・大阪屋ショップ 近岡店
・クスリのアオキ 西念店
・カジマート クロスゲート店
・100banマート

 合計20店舗です。

 金沢は日本海に面しているという地理的特性から、食品スーパーマーケットの鮮魚の品質は素晴らしいものでした。また、その鮮魚を活かした惣菜類も多く、地元の人々だけでなく100banマートのような駅ビルの店舗は、観光客にも愛されていました。

 最初に見たマルエー 彦三店は、鮮魚については旬の「石川県産真あじ」などの鮮度が素晴らしかったですし、なかなか売っていない「香箱がに ※時期はずれなため冷凍」を販売していました。青果についても、地場の「まがり胡瓜」や「太きゅうり」といった特色のある商品が並んでいました。
 

魅力的な地場スーパーを偶然発見


 視察した店舗一覧でクスリのアオキ以外に3店舗行ったチェーンがあるのに気付かれたでしょうか。「カジマート」という名前を聞いたことがある人は少ないでしょう。実は筆者も知りませんでした。

 ドラッグストアチェックの一環で最近見ていなかったキリン堂も見ておこうと訪れた時に、たまたますぐ近くで見つけたがカジマート長坂店でした。夕方訪店した時にキリン堂の駐車場の埋まり具合が4割程度なところ、カジマートは満車でした。
  
カジマート長坂店 2023年6月 (撮影:郡司昇)

 傾斜のある立地であるため、幹線道路側には車も人も出入り口がないという特殊な構造の2階建てでした。1階は屋外も含めて駐車場として、店舗は2階だけという変わった作りでしたが、内装は都心の高級スーパーと遜色のないものでした。

 入店して最初に目に入る商品が「富山県南砺市苗島 大窪さんちのおかわりトマト」でした。「肥料や水やりを調整し、昔ながらの飽きのこない味で何個でも食べられます」という売り文句にも惹かれました。実物の色艶が素晴らしく、早速購入しました。

 他にも地場産で農園名も明記された野菜や果物が並ぶ中に、地場産ではない商品も混ざっています。当然、石川県での栽培に向かない野菜や果物もあります。一例を挙げると「芋専門家の芋高さんが作った赤ポテ」という鹿児島県沖永良部島から仕入れたジャガイモが並んでいました。少なくとも年50店舗程度は、食品スーパーマーケットを視察している筆者もこの品揃えには驚きました。

 惣菜の揚げ物は全てひまわり油で揚げており、コストよりも風味と安全・安心を追求していることが伝わってきました。

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