リテールから考える「マーケティングの本質論」 #05
認知バイアスから逃れて、後悔しない「大切な意思決定」をするための方法【コメ兵 藤原義昭】
迷わないために、判断の軸を持つ
3つ目は、自分自身の軸を持つことです。いくら事実を積み上げて、論理的に考えて実施したとしても、例外や外部要因が影響してくるため、成功するかしないかは、実施してみないと分かりません。実施前に判断に迷ったときは、どうしたらよいのでしょうか。それは、自分や部署や会社として、判断の軸を持つことが必要だと私は考えています。
コメ兵には、従業員が日々業務にあたる中での規範を記したクレドがあり、その中のひとつに「迷ったら『まじめ』を選ぶ」という言葉があります。顧客だけではなく、すべてのステークホルダーに対して誠実であれという意味です。
広告を制作していると、コピーやクリエイティブで煽りや法律ギリギリの表現など、判断に迷う場面が少なくありません。コピーに煽りを入れれば、もしかしたら効果は高くなるかもしれません。この場合の判断軸が媒体考査ではなく、顧客にとって誠実であるかどうかという判断軸から見ています。その判断軸があれば、迷ったときにも判断に困りません。
自身に責任を持てるか?
相手の言うことを鵜呑みにして決めようが、よく考えて決めようが、それは自分が決定したことです。たとえ、相手の意見を聞いて、その通りに動いて失敗したとしても、それは自分が相手の意見を採用した結果です。どのような結論になろうとも、最後は自分で決定しているのであって、自分の考えや行動に責任を持つことを忘れてはいけません。
責任を持つということは、失敗したときに罰せられるという意味ではなく、自分の判断に対して後悔しないということです。
いちばん大切なことは、判断の大小に限らず自分自身でしっかりと考えて決めることではないでしょうか。
- 他の連載記事:
- リテールから考える「マーケティングの本質論」 の記事一覧