リテールメディアコンソーシアム #04

リテールメディアの取り組みは、働き方、文化、人材育成のすべてに紐づく【リテールメディアコンソーシアム座談会・後編】

 

短期ではなく、長期スパンで考える


八木 テクノロジーやデータがかかわる領域で、PoC (Proof of Concept:概念実証)から本事業展開に踏み込めない話が、リテールメディア領域でも起こっているかもしれないですね。

各社の実践を共有したり、機会や課題を類型化していくなど、しっかりと議論した上で具体的な道筋を示すことができると、メーカーさんとリテーラーさん全体で動くことができるような気がします。
 
電通コンサルティング 代表取締役 社長執行役員/シニアパートナー
八木 克全 氏

 京都大学、大学院で建築を専攻(工学研究科修士課程修了)。電通入社後、営業局、マーケティングコンサルティング局にて、デジタルサービスの開発/推進領域、大手企業のデジタル事業の開発/事業グロースを経験。2016年より電通デジタル設立に参画。DX(デジタルトランスフォーメーション)領域管掌の執行役員として、新規事業、サービス開発やトランスフォーメーションコンサルティングを推進。22年1月より現職。新規事業/サービス開発や変革支援を得意とする

杉浦 我々のようなリテーラーをメーカーさんがうまく活用してくだされば、と思っています。中編で話したLTVの考え方にしても、我々とは違う目線をもっていますし、単発的にどうこうするよりも、少し長めの期間でいろいろな取り組みを増やしていかないと、日本で本当に意味のあるリテールメディアができないような気がします。

中村 昔は、テレビCMにドカンと投資すれば、途中の過程はブラックボックスであっても売上アップに大いにつながっていたので、ある程度テレビCMは効果があるとされてきたと思います。

ただ、現代は情報化社会になり、かつスマホが出たことによって、お客さまが情報過多になってしまい、テレビCMに投資しても購買が上がらないという構図になってしまいました。結果として広告宣伝の担当は、広告側の責任は購買ではなく、認知だよねということにならざるを得なかったのではないでしょうか。
 
サントリー 支社長 リテールAI推進チーム シニアリーダー
中村 直人 氏

 1992年入社、2011年営業推進本部、2020年広域営業本部第2支社長、2023年データ戦略部部長兼務。

そこで購買を上げようと思ったときに、より購買に近いところでお客さまの背中を押すものとして、リテールメディアが登場したのだと思います。ただ、変数がめちゃめちゃあるんです。これをどう紐解いていくかが問題ですね。

杉浦 そこなんですよ。中編で話した誤って商品を大量発注してしまった時のエピソードと近いのですが、「現場力」で想像以上の大きな記録を作るケースが起きるのがリテールの現場なんです。したがって、売れた理由を精緻に分析しようとしても、変数のノイズ除去は非常に難しいのも事実です。

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