ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #58

ドラッグストア跡地に出店する北海道スーパー「DZマート」に注目すべきこれだけの理由

前回の記事:
ドラッグストア集約時代を考える:巨大化のメリットは単価が高く、販売数量の少ない商品にある
  先日、12年ぶりに札幌に行きました。目的は次の4つでした。
 
1. サツドラHD本社と店舗に伺って、富山社長と雑談する。
2. 某社の物流センターを視察する。
3. ディスカウントストア「ビッグハウス岩見沢店」の近くに出店した新しいディスカウント小型スーパー「DZマート 岩見沢大和店」を視察する。
4. イトーヨーカ堂撤退店舗のうち、7店舗がロピアに承継されるが、そのうち好立地には見えにくい屯田店をイトーヨーカドー運営のうちに視察する。

 今回は、この3つ目であるディスカウント小型スーパー「DZマート」の独特の店舗運営手法について前後編で紹介します。
 

ドラッグストア跡地にスーパーが出店することは難しい


 2024年4月26日に開店した「DZマート岩見沢大和店」は、2022年5月に閉店した「ツルハドラッグ岩見沢大和2条店」の跡地を利用した居抜き出店です。

 小売店の跡地が選ばれる理由は、初期投資を抑えられることにあります。コストを最小限に抑えることで、初年度から利益を出すことを目指しているのです。DZマートを運営するダイゼンは新設出店だけでなく、ドラッグストア店舗跡への居抜き出店も積極的に進めています。

 ドラッグストアは、最寄品小売業の中でも運営コストが比較的低く、スーパーマーケットよりも小さな商圏でも出店が可能な業態です。その理由として、次の5点が挙げられます。
 
1. 300坪程度の店舗面積でも、ある程度生活に便利な品揃えを実現できる。
2. 従業員一人ひとりが多様な業務を担当できるため、効率的な人員配置ができる。
3. 生鮮品の鮮度や賞味期限の管理など、手間のかかる作業が少ない。
4. 食品や日用品に比べて利益率が高い医薬品や化粧品といった商品も取り扱っているため、食品や日用品を安売りしても店舗全体の収益を維持しやすい。
5. 結果としてスーパーより商圏人口が少なくても店舗経営が成立する。

 特に筆者は、そのようなドラッグストアの撤退立地に出店するスーパーマーケットという点に興味を持ち、視察に行くことにしました。

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