最新ニュースから読み解く、物流とマーケティング #14

前年比400%越えの成長、普段明かされることのない中国通販サイト「SHEIN」衝撃サプライチェーンを大解剖

前回の記事:
ECで注文しても商品が届かなくなる未来。物流業界が抱える「2024年問題」とは?
  Z世代の女性を中心に人気のSHEIN。EC通販関係者にSHEINを知っているかと尋ねたところ、10人中2人しか知らなかった。また、その2人のSHEINに対する印象は、デザインのパクリや劣悪な労働条件での製品づくりなど、ネガティブなものしかヒアリングできなかった。

 ところが、SHEINの商品を製造している中国・アパレル工場の社長と親しいディマンドワークス 代表の齊藤孝浩さんからは「(SHEINに協力する工場の社長)SHEINは中国・広州のアパレル産業の救世主だ」という意外な言葉を聴いた。

 そこで本連載の中で3回に渡り、ディマンドワークスの齊藤代表とSHEINの数値データをもとに驚愕のサプライチェーンを解剖していく。

(左から)有限会社ディマンドワークス 代表 齊藤孝浩氏、筆者
 

世界アパレル専門店売上高ランキング1位クラスのSHEIN


 SHEINは未上場のため公開された数値はなく、本編に掲載する数値は、周辺情報から推定されたものであることをご理解いただきたい。

 はじめに世界のアパレル専門店売上高ランキングを紹介する。齊藤さんが10年以上にわたり、各社の決算書を元に独自に集計している資料の最新版(2023年度)である。
  
出典:コンサルティング会社デロイトのリポート「グローバルパワーオブリテイリング」をもとにラグジュアリーやオフプライスは省いたランキング。上位企業の決算書から筆者(齊藤孝浩氏)が作成

 読者の皆さんもご存じZARAを展開するスペインのインディテックスが5兆7360億円でトップ、それに次いでスウェーデンのH&M、日本のファーストリテイリングが続いている。

 ところが、米国の「THE FINANCIAL TIMES」誌の調査によると、SHEINの2023年度の売上高が5兆8500億円に達したと推定している。インディテックスがユーロ換算、SHEINはドル換算のため、為替の関係で順位は微妙だが、SHEINはすでにアパレル専門店売上で世界1位に並ぶことが確認できる。

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