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次のECの鍵は「Cross Dimension」にある #05

隣駅の歯医者に我が子を連れていく理由を分析したら、デジタルマーケティングに必要なことが見えてきた【ディノス・セシール 石川森生】

前回の記事:
デジタルマーケターの競争戦略。ECビジネスからマーケティングの普遍性は導きだせるのか【ディノス・セシール 石川森生】

子どもの親にひびくサービス設計がされている

 前回は、ECビジネスから見えてきたマーケティングの普遍性として、次の3つを導き出した。後編では、このマーケティング活動の骨子を「歯医者のビジネス」に照らして検証していく。
 
■ECビジネスから収斂される、マーケティングの普遍的要素
 
  1. 商品・サービスの特性
  2. リテンション
  3. 新規顧客獲得


事例として、我が家のかかりつけ医のケースを考える。

 我が家では、子どもをわざわざ隣駅の歯医者に通わせている。日本ではコンビニよりも多くの歯科医があるというのに。なぜか?

 最大の理由は、子どもが嫌がらずに通うからである。以前かかった歯医者は、決して腕が悪いわけではなかったと思うが、いかんせん病院として子どもに向いていなかった。病院の雰囲気から、治療方針から、先生の態度から、特に子どもに対する配慮や仕掛けは感じられなかった。よって子どもたちの評価は、一般的な子供が歯医者に持つネガティブな印象をそのまま反映していた。



 対して今の病院では、子どもに、いや、正確には子どもを持つ親に響くサービスがしっかりと設計されているのだ。特徴的な点を挙げていく。
 
  1. 治療方針が「抜かない・削らない・痛くない」
  2. 子どもの注意を引くためのオンラインビデオが各席に完備
  3. 兄弟・姉妹で連れて行った場合、一人を待たせておく遊びスペースが治療エリアの近くにある
  4. 子どもの歯に関する情報がたくさん壁に貼られている
  5. 院内処方で、子供を連れて薬局まで回る必要がない


 つまり「歯を治療する」というベーシックな価値に、「子どもたちが嫌がらないで治療を受ける」「子どもを連れて行くのが楽」という付加価値がしっかりと設計されている。

 だから我が子は、他の耳鼻科や眼科と行った病院は行くのを拒んでも、歯医者には抵抗せずに行ってくれる。

 親としてはこれだけで他の歯医者を選択肢から外すだけの十分な理由になる。そしてビジネス的な意味において重要なことに、親の定期検診なども結局は同じ歯医者で受けることになる。わざわざ親と子で別の歯医者をハシゴする理由もさしてないからだ。

 次にリテンション活動についてはどうだろうか。ここにも幾つかの工夫が見られる。

 
  1. 治療が終わるたびに子供にメダルが渡され、ガチャガチャができる
  2. 診察券がアプリ化され受診日の数日前にリマインドが来る
  3. 治療が終わって数ヶ月すると定期検診のDMがポストに届く


 特に1は、小さな子どもに効果絶大のようで、なんなら、ちょっと行く前から楽しみにしている様子さえある。きっとコストとしては、ひとつ仕入れ値で20円くらいだろう。それで心をつかめるのであれば、ROIは非常に高い。

 2、3の施策についても、店舗体験型サービスとしてはかなりレベルが高いが、どちらも王道といえば王道の施策をしっかりとやっている、といった印象だ。

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