“本気”でやり切ることのパワーの重要性
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最後に、第3の特徴として挙げられるのは「“本気”でやり切ることのパワー」です。これは、第3回で取り上げた“本気パワー”が、受賞作に現れた特徴だと言うこともできます。
その1つ目の事例は、ペディグリーのAdoptableです。ペディグリーのブランド・パーパスは、2050年までにホームレス犬を根絶すること。ですが、これまで、「ホームレス犬の根絶」のために使って来たのは、メディア費のわずか25%に過ぎませんでした。
しかしペディグリーは、本気を出しました。今から、すべての広告を「ホームレス犬の根絶」に繋げることにしたのです。具体的には、アウトドア広告でホームレス犬一匹ずつをフィーチャーし、里親候補者がQRコードからその犬の詳細な情報にアクセスでき、会いに行くことも可能にしました。
ペディグリー「Adoptable」
もう1つ、通信事業者である仏オレンジ社の「WoMen‘s Football」も、送り手の本気を感じさせる事例で、フィルム部門グランプリ等を受賞しました。
オレンジ社は男子サッカーも女子サッカーもサポートしていますが、女子サッカーを軽んじるファンが一定数存在していました。そこで、男子サッカー選手のスーパープレーをフィーチャーしているように見えるフィルムを制作。実は女子サッカー選手のプレーであり、精巧なVFXで作り替えたものであることを、フィルムの途中で暴露しました。本気を感じさせる成功な作りのVFXでした。
オレンジ「WoMen‘s Football」
このカンヌライオンズ2024の現地レポートも、今回で終了です。今年も多くの刺激とヒントを与えてくれたカンヌライオンズ。その刺激とヒントを少しでも皆様にお届けできていたら、とても嬉しいです。
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