成果を出す「運用型広告」実現のための考察 #03

そのタグ、ちゃんと発火していますか?【平野 裕亮】

前回の記事:
この記事内にリタゲ広告を入れたので「どのような広告に追いかけられているか」確かめてください【平野 裕亮】

タグが発火しなければ、何も始まらない

  前回、リターゲティングについて書きました。実際、きちんとタグが稼働しているか(いわゆる発火)を把握されている方は、どの程度いらっしゃるでしょうか。

 設置されたタグは、すべて発火している?

 そんなわけ・・・ありませんよね。

 リターゲティングは、鉄板のWebマーケティング手法の一つですが、リターゲティングタグ(以下、RTタグ)が発火しなければ、実行できません。もちろんコンバージョンタグ(以下、CVタグ)が発火しなければ、コンバージョン計測はできません。それは、Googleアナリティクスに代表される計測タグも同様です。

 タグが発火しなければ、何も始まらないわけです。

 タグの保守・運用・管理には、Googleタグマネージャ(GTM)、Yahoo!タグマネージャー(YTM)に代表されるタグマネージャ(以下、タグマネ)の利用が一般的になりつつあります。
 
出典: Yahoo!タグマネージャーのタグ管理

 SEM Technology(プリンシプル・山田氏)の調査によれば、上場企業のWebサイト3636社のうち30.8%(※1)。Yahoo!公式サイトによると2万3000社以上の企業に導入されているとのこと(※2)。

 しかし、タグの発火は計測起点でしかないため、タグマネを導入していても誰が管轄するか疎かになりがちです。そのため、配信を終えたタグの残骸があったり、設定した担当者が辞めてしまったために放置されていたり、広告代理店任せになっていたり、専任者がいないがためにタグが発火しないことによる計測漏れなどで機会損失を生んでしまうケースは少なくありません。
 

Safariの「ITP」「ITP2.0」の影響

 直近のタグに関わる話でいえば、Safariの「ITP」「ITP2.0」は、その影響が出てしまったひとつのケースでしょう。タグ埋めが必要な媒体を取り扱う、または配信を行っている広告代理店・事業主の目線では、ITP対応で振り回された方が多いのではないでしょうか。

 ITP(Intelligent Tracking Prevention)とは、「Safari 11.0」からユーザープライバシー保護を目的として導入された機能のひとつです(原文 https://webkit.org/blog/8311/intelligent-tracking-prevention-2-0/ )。

 ITP2.0では、「①ドメインをまたぐCookieが即時破棄される」「②ログイン情報などは、30日間保持される」となります。①は、どういったことなのでしょうか。

 

 RTタグを設置しているサイト(zzz.com)へユーザーが訪問するとCookieが発行されますが、それはベンダー側(bbb.com)が発行しているCookieのため、ドメインをまたいでしまいます。

 CVは、広告掲載先(aaa.com / ccc.com)にある広告をクリックして着地先の完了ページに到達した際に、bbb.comのCookieがあるかどうかで判定しますが、ドメインをまたいでいるために計測が漏れてしまいます。ドメインをまたぐ場合にCookieが渡されないため、リターゲティングやコンバージョンの計測ができなくなってしまうのです。

 この対応は、広告出稿側ではなく各広告配信ベンダー側による対応が必要なため、対応していないベンダーは現在も計測が漏れていることになります(ほぼないとは思いたいのですが・・・)。

 ※ちなみにGoogle、Facebookはすでに対応されて、Yahoo! JAPANでもサイトジェネラルタグを導入することでITP2.0対応が可能となりました。他ベンダーについては割愛します。
 

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