顧客基点の「ソーシャルメディア戦略」 #02
あなたの会社にも、スターバックスの「フラペチーノ」はきっとある
目指したい、ソーシャルメディア運用の直球勝負。
筆者はいま、この原稿を都内某所のスターバックスで執筆している。日中の最高気温予想が30℃を超えていることもあり、店内ではホットドリンクよりもコールドドリンクを飲んでいる方が多い。
企業のソーシャルメディア運用において、スターバックスの代表的なコールドドリンクである「フラペチーノ」シリーズは、全企業アカウント運用担当者の「憧れの的」と言っても差し支えがない超強力なコンテンツだ。
担当者の個性に頼らないアカウント運用については前回言及したが、個性を前面に出さない運用で成功を収めている企業アカウントの一つ、スターバックス コーヒー ジャパンを見てみよう。
本原稿執筆時のフラペチーノの最新商品「レモン ヨーグルト 発酵フラペチーノ」の販売を告知する投稿は、Facebookでは1万3千いいね!、Twitterでは1万5千リツイート、Instagramでは7万6千いいねを超え、期待度が高いコメントも多数寄せられている。
もちろん、ブランドへの信頼度、商品の品質の高さ、画像の素晴らしさなどを前提条件として考えておくべきだが、この投稿は、手元で鋭角に曲がる変化球や派手なバイシクルシュートのようなものでは無く、担当者の私見や個性を出しているのでも無い。
これぞまさに直球勝負、単に自社の新商品を紹介しているだけである。それにも関わらず、これだけのいいね数を獲得しているのだ。筆者も前職で直球を投げ続けることに限界を感じ、変化球を交えてしまったこともあるが、同社のような運用スタイルは、同じ小売業からすると理想的な存在であった。
また、「ソーシャルメディアはファンとの交流の場なので宣伝には向かない」「ソーシャルメディアは売り上げにつながらない」との声も聞くが、上記の投稿は商品宣伝でもある。そして、新商品の発売日には店頭に顧客の行列ができ、Twitterのトレンドワードにスタバや◯◯フラペチーノなどの名前が並ぶことも珍しくない。
同社は、掲載費を必要とするペイドメディアを多用しているイメージは無く、店舗での訴求やPRなどの施策も含めての結果ではあると思うが、ソーシャルメディアを通して情報発信することが事業に対して少なからず影響を与えることを表している。
この事例を「スタバだから」というひと言で結論付けてしまうと、その時点で思考が止まってしまう。
「ソーシャルメディアで告知→店舗来店者増→売り上げ増」の流れは、実店舗を有する企業にとって理想的な姿だ。もちろん、数値の結果を出すためには、ある程度のフォロワー/ファン数や期間、実店舗などのリアルなタッチポイントの数、扱う商品の単価などの要素も加味する必要があるので、成果を短期的に期待しすぎることも危険だが、ソーシャルメディアは事業拡大に貢献できる可能性持った場であると考え、ぜひ積極的に挑戦していただきたい。
そして、顧客の行動を促すきっかけづくりとなるソーシャルメディアでのコンテンツに過度な修飾は必要無いことも、我々はスターバックスの事例から学ぶ必要がある。